支払予定を管理するツールを非エンジニアがClaude Codeで内製する手順|非エンジニア向け

各部署に届いた請求書の支払期日を一つの表に束ね、期日の近いものと社内の承認が済んでいないものを抜き出して確認できる形にする仕組みをClaude Codeで内製する流れを示すイメージイラスト

請求書を出す側の管理はきちんとしているのに、受け取った請求書のほうは各部署の机の上と担当者のメールに散らばったまま——という会社は少なくありません。支払いが漏れて取引先から連絡が来る、承認が回りきらないまま期日を迎える、同じ請求を二度払ってしまう。どれも金額の問題である以上に、期日を束ねて見る場所がないことから起きています。本記事では、支払先・請求金額・支払期日・支払状況の4項目に絞った身軽な一覧・期日の近い順の自動並べ替え・承認が済まないまま期日が迫っている分の抜き出し・二重払い候補の検知・請求書が届いていない定例の支払いの洗い出しができる支払予定管理ツールを、非エンジニアがClaude Codeで内製する手順をハンズオン形式で解説します。プログラミングの知識は前提にしません。

支払予定管理ツールが受け取った請求書を一覧に束ね、期日の近い順に並べ替えて承認待ちのものと二重払い候補を抜き出すまでの処理の流れ
図:支払予定管理ツールが受け取った請求書を一覧に束ね、期日の近い順に並べ替えて承認待ちのものと二重払い候補を抜き出すまでの処理の流れ

なぜ支払予定の管理を内製で作るのか

請求書を受け取る入口は、会社の中でいくつにも分かれています。取引先から経理へ直接届くもの、発注した部署の担当者宛にメールで届くもの、現場へ紙で持ち込まれるもの、サービスの管理画面にログインしないと出てこないもの。入口が分かれていること自体は避けられませんが、その先に束ねて眺める場所がないと、次のようなことが起きます。

  • 支払期日が近い順に並んだ一覧がどこにもなく、経理が締めのタイミングで初めて全体を把握する
  • 担当者の手元で承認が止まっていることに、期日の直前まで誰も気づかない
  • 取引先から「入金が確認できていない」と連絡が来て、はじめて支払い漏れが分かる
  • 同じ請求書が担当者と経理の両方から処理に回り、二重に払ってしまう
  • 毎月同じ額を払っている契約について、請求書が届かなかった月に支払いだけが抜ける

ここで扱っているのは「期日を過ぎているか」「期日が近づいているか」「承認が済んでいるか」という、日付と状態の突き合わせが中心の処理です。人が覚えておくには向かず、機械的に繰り返すには向いている領域です。会計システムや購買システムを入れれば解決するようにも見えますが、仕訳から支払データの作成までを一気通貫で扱う前提のものが多く、まず自社の支払期日を一覧で見たいという段階には重すぎることがあります。検討しているあいだにも支払いは毎月やってきます。自社の支払先と締めの流れだけに絞った身軽な仕組みを先に作れるのが内製の強みです。請求を出す側の管理は請求書発行ツールの作り方、入金の消し込みは請求と入金の消込ツールの作り方で整理しています。本記事はその裏返しにあたる、払う側の期日管理を扱います。

作るツールの全体像

今回作るのは、受け取った請求書の期日を一か所に束ね、いま手を打つべきものだけを手元に残す小さなツールです。流れは次のとおりです。

  • 支払予定の受け取り:支払先・請求金額・支払期日・支払状況を、一件ずつ短く残す
  • 期日順の並べ替え:支払期日の近い順に自動で並べ、期日を過ぎたものを先頭に出す
  • 承認待ちの抜き出し:社内の承認が済まないまま期日が迫っている分だけを抜き出す
  • 二重払い候補の検知:同じ支払先・同じ金額・近い期日の組み合わせを重なりとして出す
  • 届いていない請求の洗い出し:毎月あるはずの支払いのうち、今月まだ記録がないものを出す

大切なのは、最初から項目を増やさないことです。勘定科目・部門・税区分・振込手数料の負担・支払方法と並べたくなりますが、それらは会計システム側が正として持っている情報で、こちらの一覧に写せば写すほど二つの数字が食い違っていきます。このツールが引き受けるのは、支払いを実行するまでの期間だけを見張る役割です。支払いが済んだあとの正しい数字は会計システムを見る、という割り切りを最初に決めておいてください。支払状況も「未承認・承認済み・支払済み」の三つ程度から始めるので十分です。社内の稟議の流れそのものを作り込みたくなったら、それは稟議・承認フローのツールの作り方の側の仕事として分けておくほうが、どちらも軽いまま続きます。

用意するもの

準備するのは次の3つだけです。特別な開発環境は必要ありません。

  • Claude Code:指示を出すと、必要なファイルを自動で作ってくれます。導入手順はClaude Codeのはじめ方を参照してください。
  • 直近1〜2か月ぶんの受け取った請求書の一覧(数十件で十分):支払先の名前と期日の書き方の癖がつかめれば、Claude Code が形をつかめます。全件そろえる必要はありません。
  • 毎月決まって発生している支払いのリスト:家賃・保守料・サブスクリプションなど、金額と期日がほぼ変わらないものを書き出したメモで構いません。

支払いのデータには、取引先ごとの単価や支払条件など、社外はもちろん社内でも見せる範囲を絞るべき情報が含まれます。試す段階では金額の列を伏せ、支払先と期日だけで動かしてみるのも一つの方法です。社内の情報の取り扱いルールに沿って作業してください。業務でAIを安全に使う考え方は業務AI利用時の情報漏えい対策で解説しています。

Claude Codeへの指示と作成手順

ここからは、実際にClaude Code へ出す指示の流れを順番に見ていきます。専門用語は使わず、ふだんの言葉で頼むのがコツです。

第一段階:手元の請求書の一覧をそのまま渡す。「受け取った請求書の支払期日を一つの表にまとめて、期日が近いものから見られるようにしたい」と目的を伝え、手元の一覧を渡します。整った表になっていなくても構いません。「支払先・請求金額・支払期日・支払状況を残したい」と項目を伝えれば、Claude Code が入力の土台と期日順の並べ替えを作ってくれます。ここで気をつけるのは期日の書き方です。請求書には「月末締め翌月末払い」のように条件だけが書かれていて、実際の日付が入っていないことがよくあります。「支払サイトの条件から実際の支払日を計算させる」ところまで欲張らず、まずは人が読み取った日付を入れる形で始めてください。条件の解釈は取引先ごとに違い、社内の締め日とも絡むため、そこを自動化するのは最後で構いません。

第二段階:承認が止まっているものを抜き出させる。「支払状況が未承認のままで、支払期日まで日が少ないものだけを出してほしい」と伝えます。ここが本記事でいちばん大事なところです。支払いが遅れる原因の多くは、経理が忘れたことではなく、社内の承認が誰かの手元で止まっていることにあります。期日そのものを見張るだけでは、期日の直前に承認が回ってきて全員が慌てる状況は変わりません。期日から社内の承認と振込の手続きに必要な日数を引いた時点を、自社で控えとして決めておき、そこを過ぎたものを抜き出すようにしてください。何日前にするかは会社の締めの流れによって違うので、決めた日数と決めた理由を一緒に残しておくと、あとから見直せます。部門ごとの予算の残りと突き合わせたい場合は部門予算の執行管理ツールの作り方で作った台帳と支払先の表記をそろえておくと、払う前に枠を確かめられます。

第三段階:二重払いの候補を出させる。「同じ支払先で、同じくらいの金額が近い期日に重なっているものを出してほしい」と伝えます。二重払いは、担当者が処理したことを経理が知らないまま同じ請求書をもう一度回す、あるいは取引先が同じ請求書を再送してきたときに起きます。金額が完全に一致していなくても、端数や消費税の扱いで少しずれることがあるので、完全一致だけを探すより、近い金額も候補として出すよう頼んでおくほうが拾えます。ここで出てくるのはあくまで候補であって、正しく二件ある支払いも混ざります。同じ相手に月に何度も発注していれば、同じ金額が並ぶのは当たり前です。だからこそ、ツールに判定させず「確認する対象を出す」までにとどめてください。経費の申請側で似た重複を見張る作り方は経費チェックツールの作り方で解説しています。

第四段階:届いていない請求を洗い出して運用に乗せる。「毎月あるはずの支払いのうち、今月まだ記録がないものを出してほしい」と伝えます。支払い漏れで見つけにくいのは、記録されている中の抜けではなく、そもそも記録が一件も存在しないものです。請求書が届かなかった月、担当者が退職して引き継がれなかった契約、自動更新されたまま誰も見ていないサービス——これらは一覧を眺めていても気づけません。前月まであった支払先が今月だけ出てこないことを機械に指摘させるのが確実です。契約そのものの更新期限を追う側は契約更新管理ツールの作り方、サービスの利用状況の棚卸しはSaaSアカウント棚卸しツールの作り方に分けておくと、それぞれ軽いまま続きます。完成したら操作の流れをメモに残しておくと、担当が交代しても同じ形で回せます。

つまずきやすい点と回避策

はじめて内製する方が引っかかりやすいポイントを、先回りしてお伝えします。

振込データの作成や送信までツールにやらせようとすること。これが最も気をつけたい点です。期日の一覧ができると、次はそのまま振込の手続きにつなげたくなります。ところがお金を動かす操作は、間違えたときに取り消しがきかず、社内で誰が承認したかという記録とセットで残す必要があります。振込の操作は銀行のサービスで人が行い、支払ってよいかどうかの判断も人が持ってください。ツールが引き受けるのは、期日が近いものと承認が止まっているものを見える形にするところまでです。この線を最初に引いておかないと、便利さと引き換えに取り返しのつかない事故に近づきます。

会計システムの数字と二つ持ちになること。この一覧は日々の期日を見張るための手元の道具であって、正式な金額の記録ではありません。両方を正しく保とうとすると、どちらかを直したときにもう一方が古くなり、やがてどちらが正しいのか分からなくなります。支払いが済んだ分は状況を支払済みに変えるだけにして、金額の集計や科目の話は会計システム側に任せてください。適格請求書の記載事項の確認や消費税の扱いといった判断も、一次情報と顧問税理士に確認する領域です。ツールを税務の判断に使わないという線引きを、使う人全員で共有しておいてください。会計まわりの数字を扱うときの考え方は経理業務を生成AIで自動化する手順もあわせてご覧ください。

支払先の表記がそろわないまま集計すること。同じ取引先が「株式会社◯◯」「◯◯株式会社」「◯◯」と三通りで入っていると、二重払いの検知も、毎月あるはずの支払いの洗い出しも働きません。前月の記録と突き合わせる処理は、名前が一致していることを前提にしているからです。件数のわりに何も引っかからないときは、まずここを疑ってください。対策としては、突き合わせの前に「支払先の名前が前月と一致しないものを先に出してほしい」と伝えて、名前のずれだけを片付けてから使うことです。取引先名の表記を整える進め方は顧客リストのクリーニングツールの作り方の考え方が応用できます。社内で作ったツールを長く使い続ける工夫は内製ツールの保守の進め方で解説しています。

まとめ:期日を見張るのはツールに、支払いの判断は人に

本記事の要点を整理します。

  • 支払いが遅れるのは金額の問題ではなく、受け取った請求書の期日を束ねて見る場所がないこと
  • 作るのは「支払予定の受け取り→期日順の並べ替え→承認待ちの抜き出し→二重払い候補の検知→届いていない請求の洗い出し」の小さなツール
  • 用意するのはClaude Code・直近の請求書の一覧・毎月決まって発生する支払いのリストの3つだけ
  • 抜き出す基準は支払期日そのものではなく、承認と手続きに必要な日数を引いた自社の控えの日に置く
  • 二重払いは判定させず、確認する候補を出すところまでにとどめる
  • 振込の操作と支払可否の判断、税務の判断は人が持ち、ツールは期日の見張りまで

期日を見張るのはツールに任せ、払ってよいかを決める判断は人が持つ——この役割分担を押さえれば、支払業務は「期日の直前に慌てて回す作業」から「今週手を打つべきものが最初から手元にある作業」へ変わります。まずは直近1か月ぶんの請求書の一覧をClaude Code に渡して、期日の近い順に並べるところから始めてみてください。受注から納品までの期日管理は受注案件の納期と進捗を管理するツールの作り方、バックオフィス全体の内製の進め方はバックオフィスがClaude Codeで内製する方法もあわせてご覧ください。研修費用の負担を抑えながら社内に内製できる人を増やす方法は生成AI研修に使える助成金もご確認ください。

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執筆:AI CODEMY 編集部 / 最終更新:2026年8月9日