経費精算のAIチェックツールを作る手順|申請ミスを自動検出

経費申請の一覧をAIがルールに照らしてチェックするイメージ

経費精算の締め日が近づくたびに、申請の一覧を目視でチェックし、不備を1件ずつ差し戻す——この確認作業は、件数が増えるほど負担も見落としも増えていきます。結論から言うと、申請一覧のCSVを読み込ませると「上限額オーバー」「領収書なし」「科目の誤り」を一覧で指摘してくれるチェックツールは、プログラミング未経験でもClaude Codeとの対話だけで作れます。本記事では、完成形のイメージから指示例文、運用のコツまで、見ながらそのまま作れる手順で解説します。

申請一覧から社内ルール照合を経て不備一覧を出力する流れ
図:申請一覧から社内ルール照合を経て不備一覧を出力する流れ

完成形のイメージ:何ができるツールか

まず、これから作るツールの動きを具体的にしておきます。完成するのは「経費申請の一覧を読み込ませると、社内ルールに照らした不備を一覧で指摘するツール」です。

  • 入力:経費申請の一覧データ(経費精算システムやExcelから書き出したCSVなど)
  • 処理:申請1件ごとに、社内ルール(金額の上限、領収書の有無、勘定科目の妥当性など)と照合
  • 出力:「何行目の誰の申請が、どのルールに引っかかったか」が分かる不備一覧

大事なのは、このツールの役割が「承認の代行」ではなく「チェックの下ごしらえ」だという点です。機械的に確認できる不備をツールが先に洗い出し、人間は判断が必要なものだけを見る。この分担にすると、確認時間が減るだけでなく、見落としによる差し戻しのやり直しも減らせます。

必要な準備:申請データと社内ルール

準備するものは3つです。いずれも手元にあるもので始められます。

  • 申請一覧のサンプルデータ:実際の申請一覧をCSVやExcelで1ファイル用意します。練習段階では、氏名を仮名に置き換えるなど、個人情報を外したコピーを使うと安全です。
  • 社内ルールの箇条書き:チェックしたいルールを日本語で書き出します。例:「交際費は1件あたりの上限額を超えたら指摘」「金額にかかわらず領収書の添付が必須」「タクシー代は旅費交通費の科目であること」。経費規程の文書があるなら、該当ページをそのまま使ってもかまいません。
  • Claude Codeが使える環境:導入済みであればそのまま、まだの方は先にセットアップしておきます。

このうち最も重要なのが「ルールの箇条書き」です。研修の現場でよくあるのが、ルールが担当者の頭の中にしかなく、書き出してみると人によって解釈が違っていた、というケースです。ツール化は、暗黙のルールを言語化する良い機会にもなります。

作る手順:指示例文をそのまま使う

準備ができたら、Claude Codeとの対話でツールを組み立てます。指示例文はそのまま使えるように書いてあります。

手順1:ツールの全体像を伝える

「経費申請のチェックツールを作ってください。経費申請の一覧CSVを読み込んで、社内ルールに違反している申請を一覧で指摘するものです。ルールはこのあと渡します。」

最初の指示は、この程度のざっくりさで問題ありません。詳細は対話で詰めていきます。

手順2:データの形とルールを渡す

「このCSVがチェック対象のサンプルです。列の意味は、申請者名、申請日、金額、勘定科目、領収書有無、備考です。チェックルールは次のとおりです。(1)交際費で上限額を超えるものを指摘(2)領収書有無が『なし』の申請をすべて指摘(3)備考にタクシーとあるのに科目が旅費交通費でないものを指摘。」

ポイントは、列の意味とルールを「自分の言葉で全部書く」ことです。AIはCSVの中身からある程度推測してくれますが、明示したほうが確実です。上限額のような具体的な数字は、自社の規程の値に置き換えてください。

手順3:結果の見せ方を指定する

「チェック結果は『不備一覧.csv』として保存してください。列は、行番号、申請者名、金額、引っかかったルール、差し戻し時に使えるひとことコメント、の5つにしてください。」

「差し戻しコメントまで作ってもらう」のがおすすめです。不備を見つけるだけでなく、申請者に返す文面の下書きまで出てくると、確認後のアクションがそのまま進みます。

手順4:実行して結果を確認する

「サンプルのCSVでこのツールを実行して、不備一覧を見せてください。」

ここまでで最初の試運転です。この「課題を選ぶ→言葉で仕様を伝える→動かす」という流れの考え方は、Claude Codeで業務ツールを作る5ステップで体系的に整理しています。

動かして直す:実データで精度を上げる

サンプルで動いたら、実際の月のデータで試します。最初は、指摘しすぎ・指摘漏れの両方が出るはずです。それを言葉で直していきます。

「金額の列に『1,000』のようにカンマ入りの値があるとエラーになります。カンマ入りでも読めるようにしてください。」
「立て替えではない法人カード払いの申請には領収書がないのが正しいので、支払方法の列が『法人カード』の行は領収書チェックの対象外にしてください。」

このように、実データには想定外の表記ゆれや例外ルールが必ず潜んでいます。それを1つずつ対話で教えていく工程が、ツールを「自社の現実」に合わせる作業そのものです。あわせて、わざと不備のある行を混ぜたテストデータで「ちゃんと検出されるか」を確認しておくと、本番投入が安心になります。Excelベースの集計や加工をAIに任せる考え方は、ExcelをAIで自動化する実例も参考になります。

運用のコツ:締め日前の定例作業にする

ツールが安定したら、運用に組み込みます。コツは3つです。

  • 実行タイミングを決める:「締め日の2営業日前にチェックを実行し、不備のある申請者へ差し戻す」のように、カレンダーに組み込んでしまうのが定着の近道です。
  • 最終判断は人間が行う:ツールの指摘はあくまで候補です。経費の承認・差し戻しの最終判断は必ず担当者が行う、という線引きを明文化しておきます。
  • ルール変更はその都度ツールに反映する:経費規程が変わったら、「上限額が変わったので、このルールを新しい値に更新して」と伝えるだけで追従できます。規程とツールがずれたまま運用するのが一番危険です。

経費チェックの先には、仕訳の下準備や月次の集計など、経理業務の自動化の広がりがあります。経理領域でClaude Codeをどこまで活用できるかは、経理業務をClaude Codeで自動化する方法で詳しく解説しています。

まとめ:チェック作業は「最後のひと目」だけ残す

本記事の要点を整理します。

  • 経費申請の不備を自動検出するツールは、非エンジニアでもClaude Codeとの対話で作れる
  • 準備は「申請一覧のサンプル」「社内ルールの箇条書き」「Claude Code」の3つ
  • 指示のコツは、列の意味とルールを自分の言葉で全部書き出すこと
  • 実データの表記ゆれや例外は、対話で1つずつ教えて精度を上げる
  • 運用では、実行タイミングの固定と「最終判断は人間」の線引きが重要

機械的なチェックはツールに任せ、人間は判断だけに集中する。経費精算は、その分担効果が最も分かりやすく出る業務のひとつです。まずは先月の申請データで試してみてください。

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執筆:AI CODEMY 編集部 / 最終更新:2026年3月13日