部門予算の執行管理ツールを非エンジニアがClaude Codeで内製する手順|非エンジニア向け

部署ごとの予算額と使った額を一か所の台帳にまとめ、残額と消化のペースを機械的に浮かび上がらせる仕組みをClaude Codeで内製する流れを示すイメージイラスト

「今期の予算、あといくら残っていますか」——部門長がこの問いに即答できる会社は多くありません。実際に使った額が確定するのは経理が月次を締めたあとで、手元にあるのは年度はじめに決めた予算表と、担当者それぞれが控えている発注のメモだけ。気づいたときには年度末を待たずに枠を使い切っていた、あるいは逆に大きく余らせて翌年度の予算を削られた、ということが起こります。本記事では、部署ごとの予算台帳・使った額を差し引いた残額と消化率の自動計算・年度の経過に対して使いすぎている科目の抜き出し・発注済みで請求がまだ届いていない分を含めた実質残額の把握ができる予算執行管理ツールを、非エンジニアがClaude Codeで内製する手順をハンズオン形式で解説します。プログラミングの知識は前提にしません。

予算執行管理ツールが予算額と使った額を台帳に集め、残額の計算から使いすぎの抜き出しまでを行う処理の流れ
図:予算執行管理ツールが予算額と使った額を台帳に集め、残額の計算から使いすぎの抜き出しまでを行う処理の流れ

なぜ予算の執行管理を内製するのか

予算を使いすぎるのは、部門長がどんぶり勘定だからではありません。いま自分がいくら使ったのかを、知りたいタイミングで知る手立てがないからです。現場では次のような困りごとが起きがちです。

  • 実際に使った額が分かるのは経理が月次を締めたあとで、いまこの瞬間の残額は誰も即答できない
  • 発注は済んでいるが請求書がまだ届いていない分が、どこにも数字として現れない
  • 科目ごとの枠は決めたのに、どの科目が先に尽きそうかを見比べる場所がない
  • 年度末に慌てて使い切るか、大きく余らせて翌年度の枠を削られるかのどちらかになる

この作業は「決めた枠から使った額を引き、経過した月数と見比べる」という性質が強く、機械的な計算と相性の良い領域です。会計システムや予算管理のパッケージにも同じ機能はありますが、全社の科目体系に合わせた初期設定と、経理側の運用に乗せるまでの調整が前提のものが多く、一つの部署が自分の枠を見張りたいだけの用途には重すぎることがあります。全社の仕組みが整うのを待つあいだ、現場は結局その場しのぎの表計算に戻ります。自分の部署が実際に使う科目だけへ絞った身軽な仕組みを作れるのが内製の強みです。財務部門から見た全社の予実管理の組み立て方は財務・FP&A担当が5日で内製する予実管理と資金繰り表の作り方で整理しています。経理業務そのものを生成AIで軽くする進め方は経理の生成AI自動化もあわせてご覧ください。

作るツールの全体像

今回作るのは、決めた枠と使った額を一か所に集め、残りと使いすぎを機械的に浮かび上がらせる小さなツールです。流れは次のとおりです。

  • 予算の登録:予算科目・部署・予算額・執行額を控え、一件として記録する
  • 残額と消化率の計算:予算額から執行額を引いた残りと、枠に対して何割使ったかを自動で出す
  • ペースの見張り:年度の経過した月数と消化率を見比べ、先に尽きそうな科目を抜き出す
  • 実質残額の把握:発注済みで請求がまだ届いていない分を差し引き、本当に使える額を示す
  • 推移の記録:月ごとの執行額を書き足し、いつから使い方が変わったかを振り返れるようにする

大切なのは、最初から会計システムとの連携や全社の科目体系まで作り込まないことです。勘定科目の正式な体系に合わせようとすると、経理との擦り合わせから始まって手が止まります。まずは予算科目・部署・予算額・執行額の四つだけで動かし、使った額は自分の部署の発注記録から手で入れる形で構いません。月に一度その作業をするだけでも、尽きそうな科目はほとんど見つけられます。数字を経営会議で見せる形にまとめたい場合はKPIダッシュボードの作り方で作った集計と部署名の書き方を合わせておくと、二重に集計し直す手間がなくなります。

用意するもの

準備するのは次の3つだけです。特別な開発環境は必要ありません。

  • Claude Code:指示を出すと、必要なファイルを自動で作ってくれます。導入手順はClaude Codeのはじめ方を参照してください。
  • 今期の予算表(自分の部署の分だけで十分):年度はじめに配られた表をそのまま使えます。科目の名前と枠の額が分かれば、Claude Code が台帳の形をつかめます。
  • 直近の執行が分かる記録(数件分で十分):発注書の控えでも、経理から届く部門別の集計でも構いません。何をもって「使った」と数えているかを言葉で伝えられれば十分です。

予算の数字は社外に出すべきでない経営情報そのものです。試す段階でも社内の情報の取り扱いルールに沿い、社外に出さない環境で作業してください。業務でAIを安全に使う考え方は業務AI利用時の情報漏えい対策で解説しています。なお、このツールが出す数字はあくまで手元の見張り用です。会計上の正式な執行額は会計システムの数字が正であり、決算や社外への報告にはそちらを使ってください。ツールに任せるのは「日々の残りを見張るところまで」で、正式な数字は経理が持つ、という線を最初に引いておくのが安全です。

Claude Codeへの指示と作成手順

ここからは、実際にClaude Code へ出す指示の流れを順番に見ていきます。専門用語は使わず、ふだんの言葉で頼むのがコツです。

第一段階:いまの予算表をそのまま渡す。「部署の予算をあといくら使えるかが、いつでも分かる仕組みを作りたい」と目的を伝え、手元の予算表を渡します。「予算科目・部署・予算額・執行額を控えている」と、いまの管理の中身をそのまま言葉で伝えれば、Claude Code が台帳の土台を作ってくれます。まずは自分の部署の科目をいくつか入れて、いつもの見え方で並ぶかを確かめます。

第二段階:残額と消化のペースを出させる。台帳が整ったら、「予算額から執行額を引いた残りと、枠に対して何割使ったかを出してほしい」と伝えます。続けて「年度が始まってから何か月経ったかと見比べて、使うペースが速すぎる科目を抜き出してほしい」と頼めば、単なる残額の一覧ではなく、このままいくと尽きる科目が先に目に入る形になります。四半期ごとに使い方が偏る科目や、年度末にまとめて発生する科目もあるので、実際にありそうな並びをいくつか入れて意図どおりに拾えるかを確かめてください。

第三段階:発注済みの分まで差し引かせる。「発注は済んでいるが請求書がまだ届いていない分を別に控えておき、それも引いた実質の残額を出してほしい」と伝えます。ここが手作業で最も抜けるところです。請求が届いていないだけの支出を残額に含めたまま新しい発注をすると、締めたあとで超過が判明します。稟議や発注の申請そのものを台帳に載せておきたい場合は稟議・承認フローを効率化するツールの作り方で作った申請の一覧と科目の書き方をそろえておくと、承認された時点で見込みの額が自動的に反映される形に近づきます。

第四段階:月ごとの推移を残す。「月ごとの執行額を書き足せるようにして、推移を振り返れるようにしてほしい」と伝えれば、台帳が使うたびに積み上がっていきます。前年度と同じ月を並べておくと、来期の予算を組むときの根拠がそのまま手元に残ります。経費の中身が妥当かどうかまで機械的に確かめたい場合は経費精算チェックツールの作り方と組み合わせると、金額の集計と中身の点検が地続きになります。完成したら操作の流れをメモに残しておくと、担当が交代しても同じ形で回せます。

つまずきやすい点と回避策

はじめて内製する方が引っかかりやすいポイントを、先回りしてお伝えします。

全社の勘定科目に合わせようとすること。「会計システムと同じ科目体系にしたい」と最初に考えると、経理との擦り合わせと過去データの移し替えから始まって、肝心の残額が見えるようになるまで何か月もかかります。まずは自分の部署が実際に使っている数個の科目だけで回してください。手元で残りが見えるようになってから、必要な科目だけ足すほうが確実です。全社の数字とそろえる作業は、台帳が実務で使われるようになってからで間に合います。

ツールの数字を正式な執行額として扱うこと。Claude Code は渡した数字を集計するのは得意ですが、その支出をどの年度・どの科目に計上すべきかは判断できません。検収の時期による期ずれ、部署をまたぐ費用の按分、税の扱いなど、会計上の判断が要る場面は少なくありません。手元の台帳と会計システムの数字は必ずずれるものと考え、ずれたときは会計システムの数字を正としてください。予算の超過を認めるか、科目のあいだで枠を組み替えるかといった判断も、ツールではなく経理や経営が持つものです。計上や税の扱いに迷ったら、一次情報と顧問の税理士に確認してください。

台帳は作ったのに更新されないこと。予算の台帳は、発注したときと請求が届いたときに書き足されて初めて実態と合い続けます。発注するのは各担当、記録するのは部門長、という形のまま誰も転記しないと、台帳だけが古いまま残り、かえって判断を誤らせます。「発注したらその場で一行足す」「月に一度、抜き出された科目だけ確認する」といった、触る場面を一つずつ決めておくのが効果的です。こうして流れを一度固めておけば、あとは同じ形で使い回せるのが内製の利点です。社内で作ったツールを長く使い続ける工夫は内製ツールの保守の進め方で解説しています。

まとめ:残額の見張りはツールに、計上の判断は人に

本記事の要点を整理します。

  • 予算を使いすぎる原因は部門長の感覚ではなく、いまの残額を知りたいときに知る手立てがないこと
  • 作るのは「予算の登録→残額と消化率の計算→ペースの見張り→実質残額の把握→推移の記録」の小さなツール
  • 用意するのはClaude Code・今期の予算表・直近の執行が分かる記録の3つだけ
  • 控える項目は予算科目・部署・予算額・執行額の四つから始め、全社の科目体系との突き合わせまでは作り込まない
  • 日々の残額の見張りはツールに任せ、計上の判断と正式な数字は経理と会計システムが持つ

集計と見張りはツールに任せ、計上の判断は人が持つ——この役割分担を押さえれば、予算の管理は「締めてみないと分からない」状態から「いつでも残りが見える」運用へ近づきます。まずは自分の部署の予算表を、Claude Code に渡して台帳にするところから始めてみてください。請求と入金の突き合わせまで手を広げたい場合は請求書照合ツールの作り方もあわせてご覧ください。研修費用の負担を抑えながら社内に内製できる人を増やす方法は生成AI研修に使える助成金もご確認ください。

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執筆:AI CODEMY 編集部 / 最終更新:2026年7月31日