案件ごとの工数を集計するツールを非エンジニアがClaude Codeで内製する手順|非エンジニア向け

案件ごとにかかった作業時間を一か所に集め、見積もった時間との差を進行中に見える形にする仕組みをClaude Codeで内製する流れを示すイメージイラスト

案件にどれだけ時間がかかったかは、たいてい終わってから分かります。請求を締めるときに「この案件、思ったより人が張り付いていましたね」と振り返り、次から気をつけようと話して、また同じことが起きる——受託や請負の仕事をしている会社では珍しくない光景です。かかった時間が見えるのが完了後だけだと、手を打てる時期はいつも過ぎています。本記事では、案件名・作業した人・作業日・作業時間の4項目に絞った身軽な記録・案件ごとの累計時間の自動集計・見積もった時間を超えたものと超えそうなものの抜き出し・記録が途切れている人の洗い出し・完了した案件の実績を次の見積もりに残す仕組みができる工数集計ツールを、非エンジニアがClaude Codeで内製する手順をハンズオン形式で解説します。プログラミングの知識は前提にしません。

工数集計ツールが日々の作業記録を案件ごとに束ね、累計時間の集計から見積もり超過の抜き出しと実績の蓄積までを行う処理の流れ
図:工数集計ツールが日々の作業記録を案件ごとに束ね、累計時間の集計から見積もり超過の抜き出しと実績の蓄積までを行う処理の流れ

なぜ案件別の工数集計を内製するのか

案件の採算が後追いでしか分からないのは、現場の意識が低いからではありません。日々の作業時間が、案件ごとに束ねて眺められる場所に集まっていないからです。多くの会社で次のようなことが起きています。

  • 作業時間の記録は各自の手帳や個人の表計算ファイルにあり、案件ごとに合計した数字がどこにもない
  • 勤怠のシステムには何時から何時まで働いたかは残るが、その時間がどの案件に使われたかは残らない
  • 担当が複数部署にまたがる案件は、それぞれの部署が自分の投入分しか把握していない
  • 見積もりのときに想定した時間が、案件が始まった時点でどこにも引き継がれていない

進行中に投入時間が見えないと、増えていく作業を断る判断も、追加の費用を相談する判断も、体制を厚くする判断も、すべて手遅れになってから下すことになります。にもかかわらず、この管理は「作業時間を案件ごとに足し合わせて、見積もった時間と見比べる」という機械的な計算が中心で、実は仕組み化しやすい領域です。工数管理の専用サービスもありますが、原価計算や請求連携までを前提にした重いものが多く、まず自社の案件がどれだけ時間を食っているのかを知りたいだけの段階には過剰なことがあります。導入を検討しているあいだにも案件は進みます。自社の進行中の案件だけに絞った身軽な記録を先に作れるのが内製の強みです。数字を経営の判断につなげる進め方は財務・FP&A担当が内製する予実管理の作り方、バックオフィス全般の考え方はバックオフィス業務をClaude Codeで効率化する方法で整理しています。

作るツールの全体像

今回作るのは、日々の作業時間を案件ごとに束ね、想定を超えつつある案件を進行中に浮かび上がらせる小さなツールです。流れは次のとおりです。

  • 作業の記録:案件名・作業した人・作業日・作業時間を、一件ずつ短く残す
  • 案件ごとの集計:記録を案件ごとに足し合わせ、これまでの累計時間を自動で出す
  • 超えたものの抜き出し:見積もった時間をすでに超えた案件と、いまの進み方だと超えそうな案件を分けて抜き出す
  • 記録の抜けの洗い出し:しばらく記録が途切れている人と、担当が決まっているのに時間が一度も入っていない案件を出す
  • 実績の蓄積:完了した案件の最終的な実績時間を残し、次に似た案件を見積もるときの目安にする

大切なのは、最初から作業の中身を細かく分類しようとしないことです。「工程ごと」「作業種別ごと」に分けて集計したくなりますが、分類を決める議論だけで数か月かかり、現場が入力をやめてしまいます。まずは案件名・人・日付・時間の四つだけで動かし、案件名も社内で呼んでいる名前をそのまま使えば十分です。それだけでも、時間を食っている案件と順調な案件は仕分けられます。時間の単位も0.5時間刻み程度の粗さで始めて構いません。細かさを上げるのは、粗いまま数か月回してみて足りないと感じてからで間に合います。

用意するもの

準備するのは次の3つだけです。特別な開発環境は必要ありません。

  • Claude Code:指示を出すと、必要なファイルを自動で作ってくれます。導入手順はClaude Codeのはじめ方を参照してください。
  • 進行中の案件の一覧(数件ぶんで十分):案件名と担当者が分かれば、Claude Code が記録の形をつかめます。全案件をそろえる必要はありません。
  • 見積もりのときに想定した時間(分かる範囲で):見積書の根拠に人日や時間を置いているなら、その数字をそのまま使えます。残っていないものは空欄のまま始めて構いません。

作業時間の記録は、誰がどれだけ働いたかという個人に紐づく情報になります。台帳に書き写すのは案件の採算を見るのに必要な項目にとどめ、評価や勤怠の判断に転用しないことを先に決めておくのが安全です。試す段階でも社内の情報の取り扱いルールに沿って作業してください。業務でAIを安全に使う考え方は業務AI利用時の情報漏えい対策で解説しています。

Claude Codeへの指示と作成手順

ここからは、実際にClaude Code へ出す指示の流れを順番に見ていきます。専門用語は使わず、ふだんの言葉で頼むのがコツです。

第一段階:いまの記録をそのまま渡す。「案件ごとにどれだけ時間がかかっているかを、進んでいる途中で見えるようにしたい」と目的を伝え、手元にある作業の記録を渡します。手帳の書き付けでも、個人の表計算ファイルでも構いません。「案件名・作業した人・作業日・作業時間を残したい」と項目を伝えれば、Claude Code が記録の土台を作ってくれます。まずは直近の数日ぶんだけを入れて、書き込むのが面倒でない形になっているかを確かめます。ここで入力が重いと感じたら、その場で「もっと短く済ませたい」と伝えて削ってください。続かない記録は集計しても意味がありません。

第二段階:案件ごとに足し合わせて見比べさせる。記録が溜まり始めたら、「案件ごとに時間を合計して、見積もったときの想定と並べて見せてほしい」と伝えます。ここが本記事でいちばん大事なところです。合計した数字だけを見ても多いか少ないかは判断できず、想定と並べて初めて意味が出ます。想定が残っていない案件は空欄のまま置き、分かる案件から埋めていけば十分です。あわせて「使った時間が想定の何割まで来ているか」も出してもらうと、案件の大小に関わらず同じ物差しで見比べられます。見積もりの根拠そのものを整える仕組みは見積書作成ツールの作り方で別に作れます。両方を同じ案件名でそろえておくと、見積もりと実績が別の場所に分かれずに済みます。

第三段階:手を打つべきものを抜き出させる。「想定をすでに超えた案件」「いまの進み方だと超えそうな案件」「しばらく記録が入っていない人」を分けて抜き出すよう伝えます。最初の二つは採算の話ですが、三つめは記録そのものの話です。入力が止まっている人がいると、その案件の合計は実際より小さく見え、順調だと勘違いしたまま進みます。抜き出した内容を毎週の打ち合わせで確認する形にすると、気づく時期が締めのあとから週の途中へ移ります。日々のやることとして回したい場合は、タスク管理ツールの作り方で作った一覧と担当者の書き方をそろえておくと、案件の話とやることの話が別の場所に浮かずに済みます。

第四段階:完了した案件の実績を残す。「案件が終わったら、最終的にかかった時間を実績として残し、次に似た案件を見積もるときに参照できるようにしてほしい」と伝えれば、案件が終わるたびに社内の目安が一つずつ増えていきます。ここまで入れておくと、担当者の勘に頼っていた見積もりが、自社の実績に裏打ちされたものへ少しずつ変わります。月ごとの推移や部署ごとの投入量まで眺めたくなったら、KPIダッシュボードの作り方で作った集計と同じ形にそろえておくと、数字を二重に作らずに済みます。完成したら操作の流れをメモに残しておくと、担当が交代しても同じ形で回せます。

つまずきやすい点と回避策

はじめて内製する方が引っかかりやすいポイントを、先回りしてお伝えします。

労働時間の管理と混ぜてしまうこと。これが最も気をつけたい点です。案件ごとの工数は「どの仕事にどれだけ時間を投じたか」を見るための数字で、法令にもとづく労働時間の把握や割増賃金の計算とは目的も求められる正確さも違います。この二つを一つのツールで兼ねようとすると、案件の採算を見るには重すぎ、労務の根拠にするには足りない中途半端なものになります。労働時間の記録は会社が定めた方法と勤怠の仕組みが正であり、給与計算や時間外の取り扱いの判断は人事と社労士が持つ、という線を最初に引いておいてください。ツールに任せるのは案件ごとの投入時間の見える化までです。勤怠そのものを軽くしたい場合は勤怠管理ツールの作り方で別に作れます。

個人の生産性を測る道具として使い始めること。集計ができるようになると、案件ではなく人ごとの合計を並べて多い少ないを比べたくなります。ここに踏み込むと、現場は自分の数字が悪く見えないように記録を調整し始め、集計そのものが信用できなくなります。実際、工数の記録が形骸化する原因の多くは入力の手間ではなく、その数字が評価に使われるのではないかという警戒です。何のために集めるのかを最初に説明し、案件の採算と見積もりの精度を上げるために使い、個人の評価には使わないことを明言してください。数字が正直に集まっている状態を保つほうが、精密な分類より先に効きます。

案件名の書き方がそろわないまま溜め続けること。同じ案件が「A社サイト」「A社様Web改修」「Aサイト」と別の名前で記録されると、合計が分散して正しく見えません。集計が合わないと感じたときは、たいてい入力の書き方が原因です。案件名は一覧から選ぶ形にするか、社内で使う正式な呼び方を一つ決めて配ってください。あわせて、Claude Code に「似た名前が混ざっていないか教えてほしい」と頼めば、表記の揺れを拾い出せます。名前を後からそろえ直す考え方は顧客リストの名寄せツールの作り方でも触れています。部門の予算の消化と突き合わせたい場合は部門予算の執行管理ツールの作り方、社内で作ったツールを長く使い続ける工夫は内製ツールの保守の進め方で解説しています。

まとめ:集計はツールに、採算の判断は人に

本記事の要点を整理します。

  • 案件の採算が後追いになる原因は意識ではなく、作業時間が案件ごとに束ねて見られる場所にないこと
  • 作るのは「作業の記録→案件ごとの集計→超えたものの抜き出し→記録の抜けの洗い出し→実績の蓄積」の小さなツール
  • 用意するのはClaude Code・進行中の案件の一覧・見積もりで想定した時間の3つだけ
  • 残す項目は案件名・人・作業日・作業時間の四つから始め、作業の細かい分類までは作り込まない
  • 労働時間の管理や給与計算の判断は人事と社労士が持ち、ツールは案件ごとの投入時間の見える化まで

集計はツールに任せ、案件を続けるか体制を変えるかの判断は人が持つ——この役割分担を押さえれば、案件の採算は「終わってから分かるもの」から「途中で手を打てるもの」へ変わります。まずは進行中の案件を数件、Claude Code に渡して記録の形にするところから始めてみてください。士業や専門サービスの案件管理を軽くする進め方は士業がClaude Codeで内製するハンズオンもあわせてご覧ください。研修費用の負担を抑えながら社内に内製できる人を増やす方法は生成AI研修に使える助成金もご確認ください。

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執筆:AI CODEMY 編集部 / 最終更新:2026年8月4日