棚卸の差異チェックツールを非エンジニアがClaude Codeで内製する手順|非エンジニア向け

数えた在庫の数と帳簿上の数を突き合わせ、差が出ている品目だけを抜き出して確認できる形にする仕組みをClaude Codeで内製する流れを示すイメージイラスト

棚卸でいちばん時間がかかるのは、数える作業そのものではありません。数え終わったあとに「帳簿と合わない」と分かってから、どこがどれだけ違うのかを一つずつ突き合わせる時間です。本記事では、品名・帳簿上の数・数えた数・数えた日・担当者の5項目に絞った入力・差異の自動計算・金額や差の大きい順での並べ替え・毎回同じ品目で差が出ている場所の抜き出し・数え漏れと重複計上の切り分けができる棚卸チェックツールを、非エンジニアがClaude Codeで内製する手順をハンズオン形式で解説します。プログラミングの知識は前提にしません。

棚卸チェックツールが数えた数と帳簿上の数の差を計算し、影響の大きい順に並べ替えて繰り返し差が出る品目を抜き出すまでの処理の流れ
図:棚卸チェックツールが数えた数と帳簿上の数の差を計算し、影響の大きい順に並べ替えて繰り返し差が出る品目を抜き出すまでの処理の流れ

なぜ棚卸の突き合わせを内製で作るのか

棚卸そのものはどの会社でも毎年、あるいは毎月行っています。それなのに毎回同じところで手が止まるのは、数えた結果と帳簿の数を突き合わせる工程が、いつも手作業に戻ってしまうからです。現場では次のようなことが起きています。

  • 数えた紙を一枚ずつ表計算ソフトに打ち込み、そのあとで帳簿の数と目で見比べている
  • 差が出た品目が何十件も並び、どれから確認すればよいのか分からないまま上から順に潰している
  • 同じ品目で毎回差が出ているのに、前回どうだったかを誰も覚えていない
  • 数え漏れなのか、二重に数えたのか、そもそも帳簿の入力が抜けていたのかを、その場で切り分けられない
  • 締めの期日が迫っているので、差が小さいものは原因を追わずに帳簿を数えた数へ合わせてしまう

差が出ること自体は珍しくありません。問題は、差が出たあとの追いかけ方が毎回ゼロから始まることです。ここは「二つの数を引き算し、大きい順に並べ、前回と見比べる」という機械的な処理が中心で、実は仕組み化しやすい領域です。在庫管理システムを入れれば解決するように見えますが、入出庫の記録から発注までを一気通貫で扱う前提の重いものが多く、まず自社の棚卸の突き合わせだけを楽にしたい段階には過剰なことがあります。検討しているあいだにも次の棚卸は来ます。自社の品目と数え方だけに絞った身軽な仕組みを先に作れるのが内製の強みです。在庫の残数から発注のタイミングを拾う側は在庫アラートツールの作り方、表計算での集計作業そのものを軽くする考え方はExcel作業を自動化するツールの作り方で整理しています。

作るツールの全体像

今回作るのは、数えた結果と帳簿の数を突き合わせ、確認すべき品目だけを手元に残す小さなツールです。流れは次のとおりです。

  • 数えた結果の受け取り:品名・帳簿上の数・数えた数・数えた日・担当者を、一品目ずつ短く残す
  • 差異の計算:帳簿上の数と数えた数の差を自動で出し、差がゼロの品目は視界から外す
  • 影響の大きい順の並べ替え:差の数量だけでなく、単価を掛けた影響の大きさでも並べ替えられるようにする
  • 繰り返しの抜き出し:前回・前々回の棚卸でも差が出ていた品目を抜き出す
  • 入力の抜けの洗い出し:数えた記録が入っていない品目と、担当者や日付が空のままの行を出す

大切なのは、原因の分類を最初から作り込まないことです。数え漏れ・重複計上・入庫の記帳漏れ・破損廃棄・誤出荷と選択肢を並べたくなりますが、棚卸の現場でその場で分かることは多くありません。分からないまま適当な分類を選ばれた記録は、あとから読んでも役に立たないどころか、誤った原因を残してしまいます。まずは差を出すところまでをツールに任せ、原因は分かったものだけを一言メモに書き足す形にしてください。品名は現場が棚で呼んでいる言い方ではなく、帳簿に載っている品目コードや正式な品名に合わせておくと、突き合わせの時点で名前がずれずに済みます。

用意するもの

準備するのは次の3つだけです。特別な開発環境は必要ありません。

  • Claude Code:指示を出すと、必要なファイルを自動で作ってくれます。導入手順はClaude Codeのはじめ方を参照してください。
  • 前回の棚卸の記録(数十品目ぶんで十分):どんな品名でどんな単位で数えているかが分かれば、Claude Code が形をつかめます。全品目をそろえる必要はありません。
  • 帳簿側の在庫数が分かるもの:会計ソフトや販売管理システムから出した一覧でも、担当者が管理している表計算ファイルでも構いません。

在庫のデータには、仕入単価や取引先ごとの条件など社外には出せない情報が含まれることがあります。試す段階では単価の列を外し、品名と数量だけで動かしてみるのも一つの方法です。社内の情報の取り扱いルールに沿って作業してください。業務でAIを安全に使う考え方は業務AI利用時の情報漏えい対策で解説しています。

Claude Codeへの指示と作成手順

ここからは、実際にClaude Code へ出す指示の流れを順番に見ていきます。専門用語は使わず、ふだんの言葉で頼むのがコツです。

第一段階:前回の棚卸の記録をそのまま渡す。「数えた在庫の数と帳簿の数を突き合わせて、合わないところだけ出せるようにしたい」と目的を伝え、手元にある記録を渡します。整った表になっていなくても構いません。「品名・帳簿上の数・数えた数・数えた日・担当者を残したい」と項目を伝えれば、Claude Code が入力の土台と差の計算を作ってくれます。まずは数十品目だけを入れて、差が正しく出るかを確かめます。ここで単位の扱いに気をつけてください。箱で数えている品目とばらで数えている品目が混ざっていると、数字だけを引き算しても意味のない差が出ます。「1箱=12個として数量に直してほしい」のように、社内の数え方をそのまま伝えて変換させるのが確実です。

第二段階:影響の大きい順に並べ替えさせる。差が出た品目が並んだら、「差の大きい順と、単価を掛けた金額の大きい順の両方で並べ替えられるようにしてほしい」と伝えます。ここが本記事でいちばん大事なところです。棚卸で差が出た品目を上から順に潰していくやり方では、数の多い安い部品ばかりに時間を取られ、一個の差が大きな金額になる品目が後回しになります。限られた時間で確認するなら、追うべきは件数ではなく影響の大きさです。単価が分からない品目があっても構いません。「単価が入っていないものは数量の差が大きい順で別に出してほしい」と伝えておけば、単価の整備を待たずに使い始められます。

第三段階:前回との比較を入れる。「前回の棚卸でも差が出ていた品目に印を付けてほしい」と伝えます。一度きりの差は数え間違いのこともありますが、同じ品目で毎回差が出ているなら、原因は数え方ではなく手前の工程にあります。入庫の記帳がいつも遅れている、現場で使った分が記録されずに消えている、置き場所が二か所に分かれていて片方が数えられていない——こうした構造的な原因は、繰り返しが見えてはじめて手を打てます。逆に言えば、毎回その場で帳簿を数えた数へ合わせているかぎり、原因は永久に見つかりません。仕入先ごとの納品の傾向まで見たい場合は外注先・仕入先の評価を残すツールの作り方で作った記録と品名や取引先名をそろえておくと、差の原因を外側から確かめられます。

第四段階:入力の抜けを出して運用に乗せる。「数えた記録が入っていない品目と、担当者や日付が空のままの行を出してほしい」と伝えます。棚卸で怖いのは差が出ることではなく、数えられていない品目が差ゼロに見えてしまうことです。空欄とゼロを区別して扱うよう明示しておいてください。あわせて「誰がいつ数えたかを必ず残す」形にしておくと、あとで確認するときに聞く相手が分かります。備品や固定資産の側の数え合わせは備品・資産管理ツールの作り方に分けておくほうが、どちらも軽いまま続きます。完成したら操作の流れをメモに残しておくと、担当が交代しても同じ形で回せます。

つまずきやすい点と回避策

はじめて内製する方が引っかかりやすいポイントを、先回りしてお伝えします。

差が出たら帳簿を数えた数へ自動で書き換えさせようとすること。これが最も気をつけたい点です。突き合わせが自動でできるようになると、次はその差をそのまま反映させたくなります。ところが在庫の帳簿上の数は、決算での棚卸資産の評価や原価の計算につながる数字です。どの差をいつどう反映するか、そもそも数え直すべきかは、経理や監査の考え方に沿って人が決めることです。ツールにやらせるのは差を並べるところまでにして、帳簿を直す操作は元のシステム側で人が行ってください。会計まわりの数字を扱うときの線引きは経理業務を生成AIで自動化する手順もあわせてご覧ください。

差の許容範囲を決めないまま使い始めること。差が一個でも出た品目をすべて確認しようとすると、件数に押し潰されて棚卸が終わりません。かといって基準がないままだと、確認するかどうかがその日の忙しさで決まります。「金額でいくら以上」「数量で何個以上」といった線を先に決め、それをツールの並べ替えの基準にしてください。ここで決める線は厳密である必要はなく、まず動かしてみて多すぎる・少なすぎると感じたら直せば十分です。大事なのは、線を決めた人と決めた理由を一緒に残しておくことです。

品名の表記ゆれを直さないまま突き合わせること。現場の紙には略称や旧品番が書かれ、帳簿には正式な品名が入っている——この状態で突き合わせると、同じ品目が別物として並び、片方が「数えられていない」、もう片方が「帳簿にない」として大量の差になります。差が異常に多いときは、まずここを疑ってください。対策としては、突き合わせる前に「品名が帳簿側と一致しないものを先に出してほしい」と伝えて、名前のずれだけを片付けてから差を見ることです。顧客名や品名の表記を整える進め方は顧客リストのクリーニングツールの作り方の考え方が応用できます。社内で作ったツールを長く使い続ける工夫は内製ツールの保守の進め方、製造現場での在庫や資材の扱いは製造業がClaude Codeで内製する方法で解説しています。

まとめ:差を並べるのはツールに、原因の判断は人に

本記事の要点を整理します。

  • 棚卸で時間がかかるのは数える作業ではなく、差が出たあとの突き合わせが毎回ゼロから始まること
  • 作るのは「数えた結果の受け取り→差異の計算→影響の大きい順の並べ替え→繰り返しの抜き出し→入力の抜けの洗い出し」の小さなツール
  • 用意するのはClaude Code・前回の棚卸の記録・帳簿側の在庫数が分かるものの3つだけ
  • 原因の分類は作り込まず、まず差を出すところまでをツールに任せる
  • 確認する順番は件数ではなく影響の大きさで決め、許容範囲の線を先に引いておく
  • 帳簿を直す操作と差の原因の判断は人が持ち、ツールは差を並べるところまで

差を並べるのはツールに任せ、原因を確かめて帳簿をどうするかを決める判断は人が持つ——この役割分担を押さえれば、棚卸は「終わったあとに始まる長い突き合わせ」から「確認すべき品目が最初から手元にある作業」へ変わります。まずは前回の棚卸の記録を数十品目ぶん、Claude Code に渡して差を出すところから始めてみてください。仕入や発注の側とつなげたい場合は受注案件の納期と進捗を管理するツールの作り方、店舗での在庫の扱いは小売業がClaude Codeで内製する方法もあわせてご覧ください。研修費用の負担を抑えながら社内に内製できる人を増やす方法は生成AI研修に使える助成金もご確認ください。

自社の業務ツールを、社員自身の手で

AI CODEMY は、5日間で社員が自分の業務課題を解決するツールを完成させる法人向け実践研修です。棚卸の突き合わせのような身近な業務を題材に、Claude Code を使った内製をハンズオンで身につけられます。まずは無料相談でお気軽にご相談ください。

無料相談(30分)
執筆:AI CODEMY 編集部 / 最終更新:2026年8月7日