なぜ備品・IT資産管理を内製するのか
所在が分からなくなるのは、管理担当がずぼらだからではありません。現物は日々動くのに、記録を更新する仕組みが業務の流れから外れているからです。現場では次のような困りごとが起きがちです。
- 入社と退職のたびに機器を渡し引き取るが、台帳の更新が後回しになる
- 部署間で機器を融通した記録が残らず、いつの間にか所在が分からなくなる
- 棚卸しで現物と台帳が合わず、差異の原因を追う作業に何日もかかる
- 誰がどの機器を使っているか分からないため、退職時の返却漏れに気づけない
この作業は「決まった項目を記録し、動いたら更新し、突き合わせて差分を出す」性質が強く、自動化と相性の良い領域です。既製の資産管理サービスも便利ですが、管理項目が細かすぎて更新が続かなかったり、自社の資産の呼び方や管理単位と合わずに結局エクセルとの二重管理になったりして、定着しないことが少なくありません。自社の管理単位に合わせて、必要な項目だけの身軽なツールを作れるのが内製の強みです。定型作業を見極めて自動化する考え方は繰り返し作業を自動化する進め方でも整理しています。情シス部門でどこから内製に着手するかは情シス部門でClaude Codeを使う進め方もあわせてご覧ください。
作るツールの全体像
今回作るのは、社内の備品とIT資産を一覧で管理し、貸出と返却を記録して棚卸しの差異を洗い出す小さなツールです。流れは次のとおりです。
- 資産の登録:機器名・管理番号・保管場所・利用者を、ふだんの言葉で一件ずつ書き込む
- 貸出と返却の記録:誰にいつ渡し、いつ戻ったかを控え、現在の持ち主が常に分かるようにする
- 保管場所と利用者の追跡:部署異動や機器の入れ替えで動いた履歴を残し、今どこにあるかをたどれるようにする
- 棚卸しの差異の洗い出し:現物を数えた結果と台帳を突き合わせ、合わないものだけを抜き出す
- 廃棄と入れ替えの記録:使わなくなった機器を除却済みに移し、いつ何と入れ替えたかを控えておく
大切なのは、最初から管理項目を増やしすぎないことです。購入日・保証期限・型番・シリアル番号・資産区分と欄をいくつも用意すると、登録が面倒になって更新されなくなります。まずは機器名・管理番号・保管場所・利用者の四つだけで動かし、運用しながら本当に必要な項目だけを足していくのが定着の近道です。消耗品の在庫が減ったら知らせる仕組みまで含めたい場合は在庫アラートツールの作り方と組み合わせると効果が高まります。購入から検収までの流れと一体で回したい場合は購買・調達でClaude Codeを使う進め方もあわせてご覧ください。
用意するもの
準備するのは次の3つだけです。特別な開発環境は必要ありません。
- Claude Code:指示を出すと、必要なファイルを自動で作ってくれます。導入手順はClaude Codeのはじめ方を参照してください。
- いま管理している備品の一覧(数十件で十分):エクセルや紙の台帳に残っているものを書き出したものがあれば、Claude Code が管理したい項目の形をつかめます。
- 社内の管理ルール(数行で十分):「管理番号は機器の種類ごとに連番」「保管場所は部署名で書く」といった、ふだん暗黙で回している約束事を数行そろえておくと、迷わない作りにできます。
資産台帳には、利用者の氏名・所属・機器の識別情報など、社外に出せない情報が含まれます。試す段階でも社内の管理ルールに沿って扱い、社外に出さない環境で作業してください。管理したい項目を必要最小限に絞っておけば、余計な情報を抱え込む事故も防げます。業務でAIを安全に使う考え方は業務AI利用時の情報漏えい対策で解説しています。
Claude Codeへの指示と作成手順
ここからは、実際にClaude Code へ出す指示の流れを順番に見ていきます。専門用語は使わず、ふだんの言葉で頼むのがコツです。
第一段階:管理したい項目を伝える。「社内の備品とパソコンを一覧で管理する仕組みを作りたい」と目的を伝え、記録したい項目もあわせて渡します。「機器名・管理番号・保管場所・利用者の四つを管理したい」「管理番号は重複させたくない」と条件を言葉で伝えると、Claude Code が土台のファイルと入力の形を作ってくれます。まずは手元の台帳を数件入れて、思ったとおりに記録できるかを確かめます。
第二段階:貸出と返却の記録を足す。登録ができたら、「誰にいつ渡したか、いつ戻ったかを記録したい」「今どの機器が貸出中で、誰が持っているかを一覧で見たい」と、追いかけ方の希望を伝えます。全部を一度に見るのではなく、貸出中のものだけを抜き出して示せると、返却漏れの確認が短時間で済みます。長期間戻っていないものを上に出したい、といった要望もこの段階で言葉で頼めば調整できます。
第三段階:棚卸しの突き合わせ方を決める。現物を数えた結果と台帳をどう突き合わせるかを決めます。「棚卸しで数えた一覧を渡すので、台帳と合わないものだけを出してほしい」と伝えれば、その形で出してくれます。ここで大切なのは、差異を担当者の落ち度として扱わないことです。誰かを咎めるためではなく、記録が追いつかなかった箇所を早く見つけて直すための一覧だと位置づけておくと、現場が正直に申告してくれるようになります。承認を伴う持ち出しの流れまで含めたい場合は稟議・承認フロー効率化ツールの作り方もあわせてご覧ください。
第四段階:日々の運用に組み込む。運用が安定したら、「使わなくなった機器は除却済みに移して、いつ何と入れ替えたかを残したい」「入社と退職のときにまとめて更新したいので、その手順を楽にしたい」といった要望も言葉で伝えれば調整できます。完成したら操作の流れをメモに残しておくと、次回からは一覧を開いて追記するだけで管理が回ります。入退社にまつわる記録と一体で扱いたい場合は勤怠管理ツールの作り方と組み合わせると一貫します。
つまずきやすい点と回避策
はじめて内製する方が引っかかりやすいポイントを、先回りしてお伝えします。
管理する項目を増やしすぎること。購入日・保証期限・型番・シリアル番号・減価償却の区分と欄を足していくと、登録が重くなって次第に更新されなくなり、台帳が実態とずれていきます。まずは機器名・管理番号・保管場所・利用者の四つだけで始め、運用してみて「この情報がないと困る」と実感した項目だけを後から足してください。身軽さこそが続く台帳の条件です。
管理する単位を細かくしすぎること。ケーブルや変換アダプタまで一件ずつ管理番号を振ると、登録の手間が現実の運用を上回り、誰も更新しなくなります。個別に追う価値があるのは、高額なもの・情報が入るもの・持ち出されるものです。消耗品はまとめて数だけ数える扱いに分け、追跡が必要な資産だけを一件ずつ管理してください。
更新を人任せの善意に頼ること。「動かした人が直す」という運用だと、忙しいときほど更新が漏れ、台帳が信用できなくなります。入社と退職の手続きの中に機器の受け渡し記録を組み込む、部署間で移動するときは受け取った側が記録する、といった入り口を一つ決めておくのが効果的です。こうして流れを一度固めておけば、あとは同じ形で使い回せるのが内製の利点です。社内で作ったツールを長く使い続ける工夫は内製ツールの保守の進め方で解説しています。
まとめ:記録と突き合わせはツールに、判断と現物確認は人に
本記事の要点を整理します。
- 所在が分からなくなる原因は担当者の注意力ではなく、記録の更新が業務の流れから外れていること
- 作るのは「資産の登録→貸出と返却の記録→保管場所と利用者の追跡→棚卸しの差異の洗い出し→廃棄と入れ替えの記録」の小さなツール
- 用意するのはClaude Code・いま管理している備品の一覧・社内の管理ルールの3つだけ
- 管理する項目は機器名・管理番号・保管場所・利用者の四つから始め、増やしすぎない
- 個別に追うのは高額なもの・情報が入るもの・持ち出されるものに絞り、消耗品は数だけ数える扱いに分ける
記録を残して台帳と突き合わせる作業はツールに任せ、現物を確かめて何を入れ替えるかの判断は人が持つ——この役割分担を押さえれば、資産管理は「棚卸しのたびに探し回る」状態から「今どこに何があるかが一目で見える」運用へ近づきます。まずは自分の部署が管理している機器を数十件、Claude Code に渡して一覧にするところから始めてみてください。社内での野良ツールや野良端末を放置しない設計はShadow AI対策とガバナンス設計で解説しています。研修費用を助成金で抑えながら内製人材を育てる進め方は生成AI研修に使える助成金もあわせてご覧ください。
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