健康診断・ストレスチェックの受診管理ツールを非エンジニアがClaude Codeで内製する手順|非エンジニア向け

社員の健康診断とストレスチェックの受診状況を一つの名簿にまとめ、前回受診日から次の期限を逆算して未受診の人だけを抜き出す仕組みをClaude Codeで内製する流れを示すイメージイラスト

健診機関から受診案内を配って三か月。何人かは結果票を持ってきましたが、誰がまだ受けていないのかは、封筒の束を数え直さないと分かりません。中途入社の人はそもそも案内が届いていたのか怪しく、去年の受診日は前任者のファイルのどこかにあるはずです——健康診断の受診管理は、人事総務の仕事のなかでも、期限があるのに一覧が存在しない典型です。本記事では、対象者の名簿・前回受診日から逆算する次回期限・まだ受けていない人だけの抜き出し・受診後にやることの進捗という4本立ての受診管理ツールを、非エンジニアがClaude Codeで内製する手順をハンズオン形式で解説します。プログラミングの知識は前提にしません。あわせて、検査結果そのものをこのツールに入れてはいけない理由も説明します。

対象者の名簿から次回期限を逆算し、未受診の人を抜き出し、受診後にやることまで追う流れ
図:対象者の名簿から次回期限を逆算し、未受診の人を抜き出し、受診後にやることまで追う流れ

なぜ受診状況の一覧が社内に存在しないのか

健康診断は毎年やっているのに、受診状況の一覧を持っている会社は多くありません。理由は単純で、健診の実務が「案内を配る」「結果票を受け取る」という二つの出来事に分かれていて、その間をつなぐ台帳が誰の担当にもなっていないからです。案内は総務が配り、予約は各自が取り、結果票は健診機関から個人宛に届き、会社には後からまとめて回ってくる。この流れのどこにも、対象者を一列に並べて消し込む場所がありません。結果として、次のようなことが起きます。

  • 誰がまだ受けていないのかを、結果票の束を数えて逆算するしかない
  • 年度の途中で入社した人が、その年の対象に入っていたのか分からない
  • 前回いつ受けたのかが人によってばらばらで、次の期限も人によって違うのに、全員を同じ日程で案内している
  • 受診して結果票を出した時点で完了扱いになり、その後にやることが誰の目にも入っていない
  • 担当者が代わると、去年までの受診日が引き継ぎ資料のどこにも書かれていない

ここで扱っているのは「対象者を並べ、日付から期限を出し、まだ済んでいない人を抜き出す」という、期限管理そのものです。判断らしい判断はほとんど含まれていません。それでも紙と封筒から抜け出せないのは、健診の結果が非常に扱いに気を使う情報なので、システム化の話になると途端に大がかりになってしまうからです。ここに内製の出番があります。結果の中身には一切触れず、受けたか・いつまでに受けるかという枠だけを持つ小さな道具なら、人事総務の担当者が自分の手で作れます。人事まわりの仕事全体をどう仕組みに寄せていくかは人事業務をClaude Codeで効率化もあわせてご覧ください。

作るツールの全体像

今回作るのは、健康診断とストレスチェックについて「誰が、いつまでに、まだ受けていないか」を常に答えてくれる小さなツールです。流れは次のとおりです。

  • 対象者の名簿:氏名・所属・入社日・雇用区分・区分ごとの受診頻度を、一人一行で持つ
  • 次回期限の逆算:前回の受診日を起点に、その人の次の期限を自動で出す
  • 未受診者の抜き出し:期限までの残り日数つきで、まだ受けていない人だけを並べる
  • 受診後の進捗:結果票の受領・医師の意見聴取・記録の保存・所轄への報告といった、受診の後に続く段階を追う

この設計でいちばん大事なのは、検査結果の中身をこのツールに一切持たせないことです。血圧の値も、所見も、再検査の指示も入れません。持つのは「受けた/まだ受けていない」という状態と、その日付だけです。健診の結果は本人の健康状態そのものであり、社内でも見てよい人が限られます。ところが受診管理の一覧を作り始めると、同じ表に結果も入れておけば便利だ、という発想が必ず出てきます。そこで一行足した瞬間に、この表は人事総務の誰もが開く一覧から、限られた人しか開けない情報へ変わり、置き場所も権限も一から作り直しになります。逆に枠だけを持つ表であれば、共有も引き継ぎも軽いままです。結果の中身は健診機関からの書類と、産業医や衛生管理者が扱う領域に置いたままにしてください。社内でAIに何を渡してよいかの線引きは業務AI利用時の情報漏えい対策で整理しています。

期限の考え方も先に決めておきます。定期健康診断の頻度は、労働安全衛生規則第四十四条で「一年以内ごとに一回」と定められています。特定の業務に常時従事する労働者については同規則第四十五条で「六月以内ごとに一回」とされています。ストレスチェックについても、労働安全衛生法第六十六条の十と同規則第五十二条の九で、一年以内ごとに一回、定期に行うこととされています。いずれも年度で区切る書き方ではなく、前回からの間隔で書かれている点が重要です。条文はe-Gov法令検索の労働安全衛生規則で、制度全体の解説は厚生労働省の安全衛生のページで確認できます(本記事では2026年8月25日に一次確認しています)。自社のどの従業員がどの区分に当たるか、どの手続きがいつ必要かは、事業場の規模や業務内容によって変わります。最終的な判断は産業医や社会保険労務士、所轄の労働基準監督署にご確認ください。

用意するもの

準備するのは次の3つだけです。特別な開発環境は必要ありません。

  • Claude Code:指示を出すと、必要なファイルを自動で作ってくれます。導入手順はClaude Codeのはじめ方を参照してください。
  • 従業員名簿と、去年の受診記録:氏名・所属・入社日が分かるもの。受診記録は日付だけで構いません。結果票そのものは使いません。
  • 去年の案内と、そのときの困りごと:いつ案内を出し、いつまでに何人が受けて、最後まで残ったのは誰だったか。思い出しながら並べると、名簿に足りていない列が見つかります。

名簿を用意するときは、整えてから渡そうとしないでください。所属が旧部署名のままになっている、退職した人の行が残っている、パートやアルバイトの雇用区分の書き方が人によって違う——そうしたばらつきは、そのまま渡して構いません。整える作業こそ、これから作るツールに任せる部分だからです。ただし一点だけ、渡す前に必ず外してほしいものがあります。検査値や所見が書かれた欄です。名簿と同じファイルに去年の血圧の数値が残っていた、というのは実際によくあります。開いて中身を確認し、氏名・所属・入社日・雇用区分・受診日だけの状態にしてから渡してください。似た性質の期限管理を先に作っている場合は、許認可・免許の更新期限を管理するツールの作り方で使った名簿の形をそのまま流用できます。

Claude Codeへの指示と作成手順

ここからは、実際にClaude Codeへ出す指示の流れを順番に見ていきます。専門用語は使わず、ふだんの言葉で頼むのがコツです。

第一段階:名簿と去年の受診記録を渡して、一人一行の一覧に整えさせる。「社員の健康診断の受診状況を管理したい。従業員名簿と去年の受診日の記録を渡すので、一人一行の一覧にまとめてほしい」と目的を伝え、手元のファイルをそのまま渡します。ここで列を自分で設計しようとしないでください。「氏名の隣に所属を置いて、その次に……」と細かく指示するより、まず渡して「どういう項目に分けたかを見せてほしい」と頼むほうが早く進みます。出てきた形を見て、違うところだけを直せば済みます。あわせて「去年の記録に名前が無い人と、名簿に名前が無いのに受診記録だけある人を、それぞれ別に出してほしい」と伝えてください。この二つの差分が、そのまま中途入社と退職者の取りこぼしになります。

第二段階:次回の期限を、前回受診日から逆算させる。「次に受ける期限は、年度で区切るのではなく、その人が前回受けた日から数えて出してほしい」と伝えます。ここが本記事でいちばん実務に効くところです。案内を全員に同じ日程で出していると、去年3月に受けた人と、去年11月に受けた人が、同じ「今年の秋の健診」に並びます。前者は前回から一年半近く空くことになり、規則が定める間隔の考え方から外れます。前回受診日を起点にすれば、この人は春までに受ける必要がある、と一人ずつの期限が出ます。あわせて「業務の区分によって頻度が違う人がいるので、その区分ごとの間隔を設定できるようにしてほしい」と伝えてください。特定の業務に従事する人の頻度は他の人と違うので、一律の計算にすると必ずどこかが合わなくなります。

第三段階:まだ受けていない人だけを、残り日数つきで抜き出させる。「今日の時点でまだ受けていない人だけを、期限までの残り日数の短い順に並べてほしい」と伝えます。全員の一覧を眺めて未受診を探すのと、未受診だけが並んだ短い一覧を見るのとでは、声をかけるまでの速さが違います。残り日数を出すのも同じ理由で、人数だけを見ていると、来月が期限の人と、半年先が期限の人が同じ重みで並びます。あわせて「案内のメール本文の下書きも作ってほしい」と頼むと、対象者ごとの期限を差し込んだ文面まで出せます。ただし送るかどうか、誰にどう声をかけるかは人が決めてください。健診を受けていないという事実は、本人の事情と結びついていることがあります。日々の細かな仕事をどう仕組みに寄せていくかは定型業務をAIで自動化する進め方もあわせてご覧ください。

第四段階:受診の後に続く段階を、別の列として持たせる。「受診したら完了、ではなく、その後にやることを段階として持たせたい」と伝えます。健診は受けて終わりではありません。結果票を受け取り、医師の意見を聴き、記録として保存し、事業場の規模によっては所轄の労働基準監督署へ報告する——という手続きが続きます。労働安全衛生規則第五十一条の二は、医師からの意見聴取を健康診断が行われた日から三月以内に行うこととしています。同規則第五十一条は健康診断個人票を作成して五年間保存することを定めており、同規則第五十二条は常時五十人以上の労働者を使用する事業者に、定期健康診断を行ったときの所轄労働基準監督署長への報告を求めています。ストレスチェックについても、同規則第五十二条の二十一が常時五十人以上の事業者に一年以内ごとの報告を定めています。この段階を「受診済み」の一言にまとめてしまうと、三月以内という期限が誰の目にも入らないまま過ぎます。ツールに持たせるのは、それぞれの段階が済んだかどうかと、その日付だけで十分です。作ったあとに何を自動化していくかの考え方はClaude Codeで業務ツールを作る5ステップが参考になります。

つまずきやすい点と回避策

はじめて内製する方が引っかかりやすいポイントを、先回りしてお伝えします。

検査結果や所見を、同じ一覧に入れてしまうこと。これが最も多く、そしてもっとも取り返しがつかない失敗です。受診管理の表ができあがると、「せっかくだから再検査の指示が出た人も分かるようにしよう」と一列足したくなります。しかしその一列が入った瞬間に、この表の性質が変わります。それまでは総務の誰が開いても構わない、受けたか受けていないかだけの名簿でした。結果が入った後は、見てよい人を絞り、置き場所を分け、誰が開いたかを説明できるようにしなければならない情報になります。しかも一度入れてしまうと、後から列を消しても、そのファイルが共有されたという事実は消えません。受診管理は枠だけ、結果の中身は産業医や衛生管理者の側、という線は最初に引いて、二度と越えないでください。判断に迷う情報の扱いは社内AI利用ガイドラインの作り方で決めておくと、都度悩まずに済みます。

期限を年度で切ってしまうこと。二番目に多い失敗です。案内も予算も年度単位で動くので、受診の期限も年度で管理したくなります。しかし規則が定めているのは前回からの間隔です。年度で切ると、年度末近くに受けた人と年度初めに受けた人の間隔が大きく開き、一覧の上では両方とも「今年度受診済み」と表示されます。表示が正しく見えることが、この失敗の厄介なところです。前回受診日を起点にした期限を持たせておけば、案内を年度単位で出しながら、間隔が空きすぎる人だけを先に拾い出せます。中途入社の人についても同じで、入社時の健診をいつ受けたかを起点にすれば、次の期限は自動的に決まります。入社時に必要な手続きをまとめて追いたい場合は入社手続きチェックリストの作り方と組み合わせると、抜けが減ります。

就業上の判断や、未受診者への対応をツールに決めさせようとすること。三番目に注意したい点です。データが溜まってくると、「この結果ならこの働き方に」といった判定や、「何日過ぎたら自動で警告を送る」といった仕組みを持たせたくなります。しかし健診の結果を踏まえて就業上どのような配慮が必要かは、医師が判断する領域です。機械が出した区分をそのまま扱えば、根拠を説明できないまま人の働き方を左右することになります。未受診者への対応も同じで、受けられていない背景には、治療中である、家庭の事情がある、日程がどうしても合わないといった個別の事情があります。一律の督促は、いちばん配慮が必要な人にいちばん強く当たります。ツールが引き受けるのは、期限を出し、まだ済んでいない人を見えるようにするところまでです。声のかけ方と判断は人が持ってください。人事の実務に生成AIをどう組み込むかは人事での生成AI活用で、長く使い続けるための見直しの進め方は内製ツールの保守の進め方で解説しています。

まとめ:期限を出すのはツールに、判断と声かけは人に

本記事の要点を整理します。

  • 受診状況の一覧が社内に無いのは、案内と結果票の間をつなぐ台帳が誰の担当にもなっていないから
  • 作るのは「対象者の名簿→前回受診日からの期限逆算→未受診者の抜き出し→受診後の進捗」の小さなツール
  • いちばん大事なのは、検査結果や所見をこの一覧に入れないこと。枠だけなら軽いまま共有でき、結果を入れた瞬間に扱いが変わる
  • 期限は年度ではなく前回受診日から数える。規則は間隔で定められており、年度で切ると空きすぎる人が正しく見えてしまう
  • 受診で完了にせず、意見聴取・記録の保存・所轄への報告まで段階として持つ
  • 就業上の配慮の判断と未受診者への声かけは人が持つ。頻度や手続きの自社への当てはめは産業医・社会保険労務士・所轄の労働基準監督署に確認する

受けたか受けていないかを一覧にするだけで、健診の実務は「封筒の束を数える仕事」から「短い名簿に声をかける仕事」へ変わります。まずは去年の受診記録と従業員名簿をClaude Codeに渡し、一人ずつの次回期限を出すところまでを試してみてください。研修費用の負担を抑えながら社内に内製できる人を増やす方法は生成AI研修に使える助成金もご確認ください。

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執筆:AI CODEMY 編集部 / 最終更新:2026年8月25日