社内の改善提案を受け付けて返事の抜けをなくすツールを非エンジニアがClaude Codeで内製する手順|非エンジニア向け

社内から集まった改善提案を一件ずつ台帳に並べ、採否の判断とは別に返事をしたかどうかを持ち、返事が返っていない提案を抜き出す仕組みをClaude Codeで内製する流れを示すイメージイラスト

改善提案の制度がある会社は多いのですが、二年目まで元気に回っているところは多くありません。理由はたいてい同じで、出した提案に何も返ってこないからです。提案箱に入れた、フォームから送った、朝礼で口頭で伝えた——そこまでは記録が残るのに、その先が誰の手元にあるのか分からなくなり、数か月たっても音沙汰がない。出した本人は「聞いてもらえなかった」と受け取り、次からは書かなくなります。困っているのは制度が足りないからではなく、届いた提案がどこまで進んだかを誰も一覧で見られないからです。本記事では、提案日・提案者・提案の内容・対象の業務の4項目に絞った身軽な受付台帳・採用するかどうかとは別に返事をしたかどうかを持つ設計・返事が返っていない提案と同じ趣旨の重複提案と採用したのに動いていない提案の抜き出し・部署ごとの提案件数と返事までの日数の集計ができる改善提案の管理ツールを、非エンジニアがClaude Codeで内製する手順をハンズオン形式で解説します。プログラミングの知識は前提にしません。

改善提案を一件ずつ受け付け、採否とは別に返事の有無を持ち、返事待ちと重複と着手漏れを抜き出すまでの処理の流れ
図:改善提案を一件ずつ受け付け、採否とは別に返事の有無を持ち、返事待ちと重複と着手漏れを抜き出すまでの処理の流れ

なぜ改善提案の管理を内製で持つのか

改善提案が集まらなくなる過程は、どの会社でもよく似ています。始めた年は現場から次々に声が上がります。集めた側は、良さそうなものから順に検討しようとして、まず点数を付けようとします。効果はどれくらいか、手間はどれくらいか、費用はいくらか。ところが点を付ける人が決まらず、決まっても根拠で意見が割れ、そのうち会議の議題から落ちます。集まった提案は表計算ファイルの中で静かに眠り、二年目の募集をかけても十分の一しか集まりません。この状態では、次のようなことが起きます。

  • 出した本人が「読まれたのかどうか」すら分からず、次から書かなくなる
  • 同じ不便を別々の部署が別々に提案していることに、誰も気づかない
  • 採用すると決めたのに担当者が決まらず、決定だけが残って何も変わらない
  • 見送った提案の理由が本人に伝わらず、「どうせ通らない」という空気だけが残る
  • 翌年また同じ提案が出てきて、前回どう判断したのかを誰も思い出せない

ここで扱っているのは「どの提案が、いつ来て、いま誰の手元にあり、返事をしたかどうか」という、並べて突き合わせる作業が中心の処理です。件数が増えると人の記憶では追えなくなり、追えなくなった瞬間に制度が死にます。機械に向いた仕事です。逆に「この提案を採用するか」「予算を付けるか」「誰に任せるか」という判断は、事情と優先順位を知っている管理職にしかできません。提案制度の機能が付いたグループウェアもありますが、全社の運用ルールと承認経路の設計が前提になっていて、それが整うのを待っているうちに、また現場の声が一年分たまって流れます。まずは「届いた提案が一覧で見えて、返事をしていない件が名指しできるだけ」の身軽な仕組みを先に作れるのが内製の強みです。どこに改善の余地があるかを先に洗い出しておくと提案の質が上がるので、部署の業務を棚卸しするツールの作り方とあわせて使うのがおすすめです。

作るツールの全体像

今回作るのは、届いた提案を一件ずつ並べ、返事の抜けが目に見える形にする小さなツールです。流れは次のとおりです。

  • 提案の受付:提案日・提案者・提案の内容・対象の業務を、一件ずつ短く残す
  • 返事の記録:採用するかどうかとは別の欄に、本人へ返事をしたかどうかと返事をした日を持つ
  • 重複の集約:同じ趣旨の提案をまとめ、何件から上がっている声かが分かるようにする
  • 抜き出し:返事が返っていない提案、同じ趣旨で複数の部署から出ている提案、採用と決めたのに動いていない提案を、それぞれ分けて出す
  • 部署ごとの集計:どこからどれだけ声が上がり、返事までに何日かかっているかを数え、運用を見直す材料として残す

この設計でいちばん大事なのは、二つ目です。採否の欄だけで済ませないでください。採否の欄があれば「採用したかどうか」は分かりますが、「本人に伝えたかどうか」は分かりません。ところが提案制度が枯れる原因は、採用率の低さではなく、返事が返らないことです。見送りでも、理由を添えて返事が返ってくれば、人はまた出します。返事の欄を別に持たせて初めて、空欄の行を機械が名指しできます。採否の欄に「見送り・連絡済み」のような値を並べて済ませたくなりますが、それだと判断の内容と連絡の有無が同じ欄に混ざり、返事待ちだけを抜き出せなくなります。欄を分けるだけの単純な違いですが、後から足すのは大変です。過去の行には返事をしたかどうかがそもそも記録されていないので、担当者の記憶を頼りに全件をたどり直すことになります。逆に、最初から項目を増やすのは避けてください。想定効果・必要費用・関係部署・評価点と並べたくなりますが、増えるほど埋まらなくなり、埋まらない台帳は誰も見ません。このツールが引き受けるのは、提案を並べて返事の抜けを名指しするところまでです。採用が決まった後の作業の管理はタスク管理ツールの作り方、社員の声を設問形式で集める場面はアンケート集計ツールの作り方と役割を分けておくと、どれも軽いまま続きます。

用意するもの

準備するのは次の3つだけです。特別な開発環境は必要ありません。

  • Claude Code:指示を出すと、必要なファイルを自動で作ってくれます。導入手順はClaude Codeのはじめ方を参照してください。
  • これまでに集まった提案のメモ(20件程度で十分):提案箱の紙、フォームの回答、会議で出た意見のメモなど、形はばらばらで構いません。
  • 過去に採用された提案とその後どうなったかの記録(1件で十分):決定から実行までにどんな段階があるかが分かる形になっていることが大事です。

メモを用意するときは、通りそうな良い提案だけでなく、書きなぐりの短い一文・気持ちだけが書かれた愚痴に近いもの・すでに一度見送ったのに再び出てきたものを必ず混ぜてください。整った提案ばかりを見て作ると、実際の運用で届く「一言だけの提案」を持てない形になり、いちばん拾いたい現場の生の声が最初から台帳に載りません。提案者名や部署名をAIに渡すときの考え方は業務AI利用時の情報漏えい対策で解説しています。ここで扱うのは社員個人の発言に紐づく情報なので、提案者名を伏せて運用するかどうかを含め、扱い方を上長と人事に先に確認してから進めてください。

Claude Codeへの指示と作成手順

ここからは、実際にClaude Code へ出す指示の流れを順番に見ていきます。専門用語は使わず、ふだんの言葉で頼むのがコツです。

第一段階:まず点数を付けず、届いた順に並べさせる。「社内から届いた改善提案を並べて、返事の抜けが見える形にしたい」と目的を伝え、手元のメモを渡します。「提案日・提案者・提案の内容・対象の業務の4項目を残したい」と項目を伝えたうえで、評価や点数は当面付けないと明言してください。ここが本記事でいちばん大事なところです。効果と手間で点を付けて並べ替える仕組みを最初に作ると、点を付ける人が決まらないまま台帳が止まります。制度が枯れるのは「良い提案を選べなかったから」ではなく「返事が返らなかったから」なので、最初に管理すべきは優劣ではなく、受け取ったことと返事の有無です。並べ替えの軸は、点数ではなく提案日で十分です。古いものから順に並べば、放置している期間の長い提案が自然に上に来ます。

第二段階:返事の欄を採否とは別に持たせる。「採用するかどうかの欄とは別に、本人へ返事をしたかどうかと、返事をした日の欄を作ってほしい」と伝えます。返事の内容そのものは長く書く必要はありません。「採用して進める」「今期は見送る」「もう少し詳しく聞きたい」程度の三つか四つで十分です。埋めるのが軽いほど、最後まで埋まります。あわせて「返事をしていない提案を抜き出して、届いてから経った日数が長い順に並べてほしい」と頼んでください。返事待ちの件数だけでは危険度が測れません。三日前に届いたものと二か月放置しているものが同じ扱いになるからです。経過日数と掛け合わせて初めて、今日どれに返事をすべきかが決まります。

第三段階:同じ趣旨の提案をまとめさせる。「内容が似ている提案をまとめて、何件から上がっている声かが分かるようにしてほしい」と伝えます。ここは機械が得意な部分です。書き方も言葉づかいも違う複数の提案が、実は同じ不便を指していることはよくあります。「申請の紙が多い」「押印のために出社している」「承認が誰で止まっているか見えない」は、別々の提案として届きますが、まとめれば一つの課題です。まとめると件数が見えるので、優先順位を決めるときの材料になります。ただし、まとめるかどうかの最終判断は人がしてください。機械は言葉の近さでまとめるので、同じ言葉を使っていても別の話であることがあります。Claude Code には「まとめた候補と、その理由を並べて出して」と頼み、人が見て確定させる形にすると安全です。承認や押印まわりの提案が多く集まったときは、社内申請・承認の進捗を管理するツールの作り方が次の一手になります。

第四段階:採用後の着手漏れを抜き出し、見直しの記録を残させる。「採用すると決めた提案のうち、担当者が決まっていないものと、決まってから動きのないものを抜き出してほしい」と伝えます。提案制度でいちばん静かに信頼を失うのは、見送りではなく、採用したのに何も変わらないことです。出した本人は自分の提案が通ったと聞いているので、変化がないと「言うだけの制度だ」と受け取ります。抜き出した行から順に担当と期日を決めていけば、この失点は防げます。決まった作業を実際に回す部分はタスク管理ツールの作り方で作った一覧に載せてください。最後に「いつ誰が全体を見直したかを残せるようにしてほしい」と伝えてください。提案は波があるので、募集の直後は増え、しばらくすると止まります。月に一度でも見直しの記録が残っていれば、次に運用する人が「どこまで手が入っている台帳か」を判断できます。内製で何を作るかの選び方はClaude Codeで業務ツールを作る5ステップ、間接部門での使いどころはバックオフィス業務でのClaude Code活用もあわせてご覧ください。

つまずきやすい点と回避策

はじめて内製する方が引っかかりやすいポイントを、先回りしてお伝えします。

採否を決める前に、評価点で並べ替えようとすること。これが最も多い失敗です。効果と手間を点数にして掛け合わせれば、良い提案から順に手を付けられるように見えます。ところが実際に始めると、点を付ける人が決まらず、決まっても「この効果は本当に三点か」で議論が止まり、そのうち誰も点を付けなくなります。そして点の付いていない提案は、一覧の一番下に沈んだまま返事もされません。順番を決めるより先に、届いたことを本人に伝えるほうがはるかに効きます。返事さえ返っていれば、採用が半年後になっても制度は続きます。点数付けを入れるなら、返事の運用が半年ほど回って、返事待ちがほぼゼロで保てるようになってからで十分です。なお、点数を付けないと決めても、経過日数での並べ替えは必ず入れてください。放置の長さだけは、機械が客観的に測れる唯一の指標です。

提案の件数を、部署や個人の評価の材料として扱うこと。この台帳は、使われ方ひとつで簡単に歪みます。提案件数が目標として割り当てられた瞬間から、締切前に中身の薄い提案が並び、本当に困っていることは書かれなくなります。数を集めること自体が目的になると、返事をする側も追いつかなくなり、結局いちばん大事な返事が滞ります。逆に、批判と受け取られる提案が不利に扱われると噂が立てば、現場からは何も上がってきません。何のために集めるのか——現場が気づいた不便を拾って直すため——を、使い始める前に言葉にして共有してください。あわせて、提案者名を伏せて出せる経路も用意しておくと、言いにくい話が集まります。採用するかどうかと予算を付けるかどうかの判断は管理職と経営が持ちます。ツールが引き受けるのは、返事待ちと重複と着手漏れの抜き出しまでです。

返事の文面まで機械に任せてしまうこと。返事の下書きをAIに作らせること自体は有効ですが、そのまま送るのはおすすめしません。見送りの返事は特にそうで、当たりのやわらかい一般的な文面ほど「読まずに定型文を返された」と受け取られます。提案の中身に一行でも触れているかどうかで、受け取り方はまったく変わります。下書きは作らせて、その提案固有の事情を人が一行足してから送る、という分担にしてください。文面づくりの土台としてはメール返信の下書きを自動生成するツールの作り方が使えます。作ったあとも運用は変わっていくので、たまに見直す時間を取ってください。長く使い続ける工夫は内製ツールの保守の進め方で解説しています。

まとめ:返事待ちの抜き出しはツールに、採用するかどうかの判断は人に

本記事の要点を整理します。

  • 提案が集まらなくなるのは現場が冷めたからではなく、出した提案に返事が返っていないこと
  • 作るのは「提案の受付→返事の記録→重複の集約→抜き出し→部署ごとの集計」の小さなツール
  • 用意するのはClaude Code・これまでの提案メモ20件程度・採用後の記録1件の3つだけ
  • いちばん効くのは、点数を付けて並べ替える前に、返事をしたかどうかだけを先に管理すること
  • 採否と返事は別の欄で持つ。同じ欄にまとめると、返事待ちの提案を名指しできない
  • 採用するかどうかと予算付けの判断は人と管理職が持ち、ツールは返事待ちと着手漏れの抜き出しまで

返事が滞っている場所を名指しするのはツールに任せ、採用するかどうかの判断は人が持つ——この役割分担を押さえれば、改善提案の制度は「初年度だけ盛り上がって静かに終わる行事」から「現場の声が翌週には返事になって戻る仕組み」へ変わります。まずは手元にたまっている提案を20件だけClaude Code に渡して、返事の欄が空いている行を抜き出すところから始めてみてください。改善の余地そのものを洗い出す手前の作業は部署の業務を棚卸しするツールの作り方、拾った課題を自動化に落とす進め方は定型業務をAIで自動化する進め方もあわせてご覧ください。研修費用の負担を抑えながら社内に内製できる人を増やす方法は生成AI研修に使える助成金もご確認ください。

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執筆:AI CODEMY 編集部 / 最終更新:2026年8月16日