社用車の管理ツールを非エンジニアがClaude Codeで内製する手順|非エンジニア向け

社用車の車検や保険の満了日を一覧にまとめ、期限が近い車両だけを抜き出し、運転前後の確認記録と運転日誌を残す仕組みをClaude Codeで内製する流れを示すイメージイラスト

整備工場から「そろそろ車検ですよ」と電話が来て、はじめて満了が近いことを知る。任意保険の更新案内は代理店から届くけれど、自賠責の証明書がどの車のダッシュボードに入っているかは、行って見ないと分からない。運転前後のアルコールチェックは毎日やっているのに、記録はバインダーに綴じた紙のままで、去年のぶんがどこにあるかは誰も答えられない——社用車の管理は、期限と記録がどちらも存在するのに、それを横に並べた場所だけが無い、という状態になりがちです。本記事では、車両台帳・車検や保険の満了日の一覧・期限が近い車両の抜き出し・運転前後の確認記録と運転日誌という4本立ての社用車管理ツールを、非エンジニアがClaude Codeで内製する手順をハンズオン形式で解説します。プログラミングの知識は前提にしません。あわせて、満了日を計算で出してはいけない理由も説明します。

車両台帳から期限の一覧を作り、期限が近い車両を抜き出し、運転前後の記録を残すまでの流れ
図:車両台帳から期限の一覧を作り、期限が近い車両を抜き出し、運転前後の記録を残すまでの流れ

なぜ社用車の期限は毎回ぎりぎりになるのか

社用車が数台ある会社で、車検の満了日を全部そらで言える人はまずいません。理由は、期限を教えてくれる相手がばらばらだからです。車検は整備工場が声をかけてくれ、任意保険は代理店から更新案内が届き、自賠責は車検と一緒に更新されるので単独では誰も何も言ってこず、法定点検は誰も催促しません。それぞれの相手が別のタイミングで別の連絡手段を使うので、社内には全体像が集まらないままになります。結果として、次のようなことが起きます。

  • 整備工場からの電話が、実質的に社内の唯一のリマインドになっている
  • 車検証と自賠責の証明書は車の中にあるので、満了日を確認するには駐車場まで歩く必要がある
  • 任意保険の満了日と車検の満了日がずれていて、どちらが先か毎回思い出せない
  • 運転前後のアルコールチェックの記録が紙のバインダーにあり、去年のぶんを探せない
  • 誰がいつどの車を使ったかが、鍵の貸し出し表とホワイトボードに分かれて残っている
  • 担当者が代わると、どの車がどの代理店と付き合っているのかが分からなくなる

ここで扱っているのは「日付を並べ、近い順に見る」ことと「その日にやったことを記録する」ことの二つだけです。判断らしい判断はほとんど含まれていません。それでも紙とホワイトボードから抜け出せないのは、市販の車両管理システムが台数の多い運送事業者を想定した作りで、数台から十数台の会社にとっては大きすぎるからです。ここに内製の出番があります。自社の台数と自社の運用に合わせた小さな一覧なら、総務の担当者が自分の手で作れます。バックオフィス全体をどう仕組みに寄せていくかはバックオフィス業務をClaude Codeで効率化もあわせてご覧ください。

作るツールの全体像

今回作るのは、社用車について「どの車の何が、いつまでか」と「今日、誰がどう確認したか」の二つに常に答えてくれる小さなツールです。流れは次のとおりです。

  • 車両台帳:登録番号・車種・使用の本拠・主に使う部署・付き合いのある整備工場と代理店を、一台一行で持つ
  • 期限の一覧:車検・自賠責・任意保険・法定点検といった期限を、車両ごとではなく「車両と期限の種類の組み合わせ」ごとに一行で持つ
  • 期限が近い車両の抜き出し:残り日数つきで、近い順に並べる
  • 運転前後の記録:酒気帯びの確認をした事実と、運転者名・運転の開始と終了の日時・走行距離を、その日のうちに追記していく

この設計でいちばん大事なのは、期限を一台一行の横並びの列にしないことです。一台の行に「車検満了日」「自賠責満了日」「任意保険満了日」「次回点検日」と列を並べたくなりますが、そうすると期限の近い順に並べ替えることができなくなります。ある車は車検が来月で、別の車は保険が来週、また別の車は点検が三か月先——という状態を一つの並び順で表せないからです。担当者は結局、四つの列を目で往復して比べることになり、紙の台帳と手間が変わりません。「A車・車検・満了日」「A車・任意保険・満了日」というように、車両と期限の種類の組み合わせを一行にしておけば、種類をまたいで満了日の近い順に一列で並びます。この形にしておくと、後から「ETCカードの有効期限も入れたい」となったときに、列を足すのではなく行を足すだけで済みます。

期限の考え方も先に決めておきます。自動車検査証の有効期間は道路運送車両法第六十一条で定められており、原則として二年、旅客や貨物の運送事業の用に供する自動車などは一年、自家用の乗用自動車は初回の交付に限り三年とされています。法定の定期点検は同法第四十八条で、事業用の自動車や車両総重量八トン以上の自家用自動車などは三月ごと、一部の自家用自動車は六月ごと、それ以外の自動車は一年ごととされています。安全運転管理者を選任しなければならない台数は、道路交通法施行規則第九条の八で、乗車定員十一人以上の自動車は一台、その他の自動車は五台と定められています。条文はe-Gov法令検索の道路運送車両法道路交通法施行規則で確認できます(本記事では2026年8月26日に一次確認しています)。ただし自社の車が具体的にどの区分に当たるか、次の満了日がいつになるかは、車種・用途・登録の状況によって変わります。一覧に入れる満了日は、後述するとおり必ず手元の書類の記載を写してください。制度の当てはめに迷う場合は、運輸支局や整備工場、保険代理店にご確認ください。

用意するもの

準備するのは次の3つだけです。特別な開発環境は必要ありません。

  • Claude Code:指示を出すと、必要なファイルを自動で作ってくれます。導入手順はClaude Codeのはじめ方を参照してください。
  • 車検証と保険証券の控え:登録番号と満了日が読み取れるもの。原本は車に積んだままで構いません。写真でも、代理店からの更新案内でも大丈夫です。
  • 今使っている鍵の貸し出し表と、アルコールチェックのバインダー:直近の一か月ぶんで十分です。今どういう項目を書いているかが分かれば、そのまま形を引き継げます。

書類を集めるときに、きれいに揃えてから渡そうとしないでください。売却した車の証券が混ざっている、リース車と自社所有が同じファイルに入っている、代理店が途中で変わっていて古い証券が残っている——そうしたばらつきは、そのまま渡して構いません。整える作業こそ、これから作るツールに任せる部分だからです。ただし一点だけ、渡す前に確認してほしいことがあります。書類の写真に、運転者個人の免許証が写り込んでいないかどうかです。免許証には本籍や生年月日が載っていることがあり、車両の台帳とは扱いの重さが違います。免許の有効期限を管理したい場合は、期限の日付だけを別に持ってください。似た形の期限管理をすでに作っている場合は、許認可・免許の更新期限を管理するツールの作り方で使った一覧の形をそのまま流用できます。

Claude Codeへの指示と作成手順

ここからは、実際にClaude Codeへ出す指示の流れを順番に見ていきます。専門用語は使わず、ふだんの言葉で頼むのがコツです。

第一段階:書類を渡して、車両台帳に整えさせる。「社用車の管理をしたい。車検証と保険証券の控えを渡すので、一台一行の台帳にまとめてほしい」と目的を伝え、手元のファイルや写真をそのまま渡します。ここで列を自分で設計しようとしないでください。「登録番号の隣に車種を置いて、その次に……」と細かく指示するより、まず渡して「どういう項目に分けたかを見せてほしい」と頼むほうが早く進みます。出てきた形を見て、違うところだけを直せば済みます。あわせて「渡した書類のうち、今は使っていない車のものがあれば分けて出してほしい」と伝えてください。売却済みやリース返却済みの車が混ざっていると、この後の期限の一覧に幽霊の行が残ります。

第二段階:期限を、車両と種類の組み合わせで一行ずつ持たせる。「車検・自賠責・任意保険・法定点検の満了日を、一台一行に列を並べるのではなく、車両と期限の種類の組み合わせで一行ずつ持ちたい」と伝えます。ここが本記事でいちばん実務に効くところです。あわせて必ず伝えてほしいのが、「満了日は計算で出さず、書類に書いてある日付をそのまま写してほしい」という一言です。車検の有効期間は原則二年ですが、初回だけ違ったり、用途によって一年だったりします。前回の日付から自動で足し算をさせると、この例外にあたる車だけが静かにずれます。しかも一覧の上では正しい日付が表示されているので、間違いに気づくのは満了の当日です。車検証には満了日そのものが記載されているので、それを写せば計算の余地はありません。ついでに「証券や車検証のどこを見て入れたかも、行ごとに残してほしい」と頼んでおくと、後から確認するときに書類を探し直さずに済みます。

第三段階:期限が近い車両だけを、残り日数つきで抜き出させる。「今日の時点で満了日が近い順に、残り日数つきで並べてほしい」と伝えます。全体の一覧を眺めて近い日付を探すのと、近いものだけが並んだ短い一覧を見るのとでは、動き出すまでの速さが違います。残り日数を出すのも同じ理由で、日付だけを見ていると、来週のものと三か月先のものが同じ重みで並びます。あわせて「整備工場や代理店に出す連絡の下書きも作ってほしい」と頼むと、車両ごとの満了日を差し込んだ文面まで出せます。ただし、いつ入庫させるか、どの代理店にどう頼むかは人が決めてください。車が一台抜けると現場が回らない期間があり、それは一覧からは見えません。日々の細かな仕事をどう仕組みに寄せていくかは定型業務をAIで自動化する進め方もあわせてご覧ください。

第四段階:運転前後の記録と運転日誌を、追記だけの形で持たせる。「運転の前と後に確認したことを、その日のうちに追記していく形で残したい。あとから書き換えられない形にしてほしい」と伝えます。安全運転管理者を選任している事業所では、道路交通法施行規則第九条の十第六号により、運転しようとする運転者と運転を終了した運転者に対して、目視等での確認に加えてアルコール検知器を用いた酒気帯びの確認が求められています。同条第七号は、その確認の内容を記録して一年間保存すること、そして検知器を常時有効に保持することを定めています。同条第八号は、運転者名・運転の開始および終了の日時・運転した距離などを記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させることを求めています。この日誌については、同規則第九条の十の二により、電磁的方法で記録され必要に応じて直ちに表示できるときは、その記録をもって日誌に代えることができるとされています。つまり内製したツールが日誌の役割を果たせる余地は制度上あります。ただし何が代えられて何が代えられないかは自社の運用によって変わるので、実際の当てはめは所轄の警察署にご確認ください。作ったあとに何を自動化していくかの考え方はClaude Codeで業務ツールを作る5ステップが参考になります。

つまずきやすい点と回避策

はじめて内製する方が引っかかりやすいポイントを、先回りしてお伝えします。

一台一行に、期限の列を横に並べてしまうこと。これが最も多い失敗です。台帳を作るとき、一台の情報は一行にまとめたくなります。ところが期限だけは、種類ごとに満了日も更新の周期も違います。車検は二年、任意保険は一年、点検はまた別の間隔で回っていて、しかも車によってずれ方が違います。これを横の列に並べると、「いちばん近い期限は何か」という肝心の問いに一つの並び順で答えられなくなり、担当者は毎回四つの列を見比べることになります。車両と期限の種類の組み合わせで一行にすれば、種類をまたいで一列に並びます。台帳と期限を別の一覧に分け、登録番号でつなぐ形にしておくのが安全です。同じ考え方は設備の側でも使えるので、設備の点検・保全記録を管理するツールの作り方もあわせてご覧ください。

満了日を、前回の日付からの計算で出してしまうこと。二番目に多い失敗です。前回の車検日が分かっているのだから二年足せばよい、と考えたくなります。しかし車検の有効期間は用途や登録の状況で変わり、初回だけ扱いが違う場合もあります。計算で出すと、例外にあたる一台だけが静かにずれ、しかも一覧の上ではもっともらしい日付が表示されます。表示が正しく見えることが、この失敗の厄介なところです。車検証にも保険証券にも満了日そのものが書いてあるので、そこから写してください。写し間違いを心配する必要はあまりありません。写し間違いは「その日に書類を見れば気づける誤り」ですが、計算のずれは満了の日まで誰も気づけない誤りだからです。同じ理由で、更新のたびに新しい満了日を書き換えるのではなく、更新の記録を一行足していく形にしておくと、いつからいつまでが有効だったかが後から追えます。

アルコールチェックの結果から、乗務の可否をツールに判定させようとすること。三番目に注意したい点です。検知器の数値を記録していると、「この値なら自動で運転可、この値なら不可と出してほしい」という発想が必ず出てきます。しかし規則が求めているのは、目視等での確認と検知器での確認を行い、その内容を記録することです。実際に運転させてよいかどうかは、体調や前夜の状況も含めて人が判断する領域であり、安全運転管理者の職務です。数値だけを見た機械の判定をそのまま運用に載せると、判断の根拠を誰も説明できないまま人を運転席に座らせることになります。ツールが引き受けるのは、確認した事実と数値を、その日のうちに、書き換えられない形で残すところまでです。あわせて、検知器そのものを常時有効に保持することもツールの外にある仕事です。校正の期限や予備機の有無は一覧の行として持てますが、実際に動くかどうかは現物を触らないと分かりません。何をAIに渡してよいかの線引きは社内AI利用ガイドラインの作り方で決めておくと、都度悩まずに済みます。

紙で備え置くべきものまで、一覧に置き換えたつもりになること。四番目です。運転日誌については電磁的方法での記録が認められている一方で、点検整備記録簿については道路運送車両法第四十九条が「当該自動車に備え置き」と定めており、点検の年月日・点検の結果・整備の概要・整備を完了した年月日を記載することを求めています。つまり社内の一覧で点検日を管理していても、それは記録簿そのものの代わりにはなりません。内製したツールが担うのは「次の点検がいつか」を見えるようにすることで、記録簿は車の中に置いたままにしてください。この線引きを最初に決めておかないと、一覧が充実してくるほど「もう紙は要らないのでは」という空気が生まれ、いざ必要になったときに現物が無い、という事態になります。長く使い続けるための見直しの進め方は内製ツールの保守の進め方で解説しています。台数が多く運行そのものが事業の中心である場合は、求められる管理の水準が変わるので、運送業でのClaude Code活用もあわせてご覧ください。

まとめ:期限を並べるのはツールに、運転させる判断は人に

本記事の要点を整理します。

  • 社用車の期限がぎりぎりになるのは、整備工場・代理店・自賠責・法定点検と、教えてくれる相手がばらばらで社内に全体像が集まらないから
  • 作るのは「車両台帳→期限の一覧→期限が近い車両の抜き出し→運転前後の記録」の小さなツール
  • いちばん大事なのは、一台一行に期限の列を横に並べないこと。車両と期限の種類の組み合わせで一行にすれば、種類をまたいで近い順に並ぶ
  • 満了日は計算で出さず、車検証と保険証券の記載を写す。計算のずれは満了の日まで誰も気づけない
  • 運転前後の確認は、確認した事実をその日のうちに追記する。乗務の可否の判定は機械に決めさせない
  • 運転日誌は電磁的方法での記録が認められている一方、点検整備記録簿は車に備え置く。制度の当てはめは所轄の警察署・運輸支局・整備工場に確認する

満了日を一列に並べるだけで、社用車の管理は「整備工場からの電話を待つ仕事」から「今月やることが最初から見えている仕事」へ変わります。まずは車検証の写真を何枚かClaude Codeに渡し、登録番号と満了日の一覧を作らせるところまでを試してみてください。同じ考え方は人の側の期限にも使えるので、健康診断の受診管理ツールの作り方もあわせてご覧ください。研修費用の負担を抑えながら社内に内製できる人を増やす方法は生成AI研修に使える助成金もご確認ください。

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執筆:AI CODEMY 編集部 / 最終更新:2026年8月26日