営業が5日で内製する3つのツール|受注予測・提案書ドラフト・案件サマリー

営業担当がClaude Codeで受注予測・提案書ドラフト・案件サマリーの3ツールを内製するイメージイラスト

受注の見込みを読み、提案書を書き、商談を記録する——営業の一日は、こうした「成果に直結はするが手のかかる作業」の積み重ねです。結論から言うと、これらを助けるツールは、外注やSaaS導入を待たなくても、営業担当が自分の手でClaude Codeを使って内製できます。プログラミング経験のない営業が、です。本記事では、受注予測・提案書ドラフト・案件サマリーという成果ベースの3ツールを取り上げ、それぞれを短時間で組み立てる手順と、指示(プロンプト)の出し方の具体例、そして実務で使う際の注意点を解説します。使い方の紹介ではなく、自分で作るための実践ガイドです。

営業が内製する3ツール(受注予測・提案書ドラフト・案件サマリー)の役割
図:営業が内製する3ツール(受注予測・提案書ドラフト・案件サマリー)の役割

なぜ営業が「自分で作る」のか

営業の困りごとを一番よく知っているのは、現場の営業担当です。「この案件、いつもの感触だと半々くらい」「提案書のたたき台に毎回1時間かかる」「商談メモを起こすのが後回しになる」——こうした肌感覚は、要件定義書には書ききれません。だからこそ、ツールを外注したりSaaSの設定を情シスに頼んだりすると、自分の感覚と微妙にずれたものが出来上がりがちです。

Claude Codeは、やりたいことを日本語で伝えると、プログラムの作成から実行までを対話で進めてくれるAIです。これを使えば、営業担当が自分の言葉で、自分の業務に合ったツールを組み立てられます。営業がClaude Codeで何を自動化できるかの全体像は営業部門でClaude Codeを活用する記事で整理しているので、本記事はその中から「成果に効く3本」を、作り方まで踏み込んで掘り下げます。

大切なのは、ツールに最終判断をさせないことです。受注確度を出すのも、提案書を書くのも、商談を要約するのも、あくまで「人の作業を前倒しする下書き」を作るところまで。最後に判断し、お客様に向き合うのは営業担当です。この線引きが、安心して日々の業務に組み込める内製ツールの条件になります。なお、以下の例で使う顧客情報はすべてダミーです。実データを扱う前には、必ず自社の情報取り扱いルールを確認してください。

ツール1:受注予測アシスタント

1本目は、案件一覧から「いま動かすべき案件」を浮かび上がらせるツールです。受注確度を機械が断定するのではなく、過去の傾向と現在の状況を照らし合わせて、人が注目すべき案件を並べ替えるイメージです。

何をするツールか。商談中の案件をまとめたExcelやCSV(取引先、金額、フェーズ、最終接触日、次アクションなど)を読み込み、「失注しかけている案件」「あと一押しの案件」「放置されている案件」といった観点で、注意すべき順に並べ替えて理由を添えます。

作り方の勘どころ。大事なのは、自社の営業プロセスを言葉にすることです。たとえば「最終接触から14日以上空いた案件は要フォロー」「見積提出済みで2週間動きがなければ確認の連絡」といった、自分たちの肌感覚に近いルールをClaude Codeに伝えます。統計的な厳密さよりも、現場の判断基準を素直に書き出すほうが、実務で役立つツールになります。指示の出し方は次のようになります。

「このフォルダの案件一覧(deals.csv)を読み込んで、フォローの優先度が高い順に並べ替えてほしい。優先度は、最終接触からの経過日数が長い、金額が大きい、フェーズが見積提出以降で止まっている、の3点を重く見て判断して。各案件に『なぜ優先か』の一言の理由と、次にすべきアクションの案を添えて、優先度つきの一覧(priority.csv)に出して。確度の数字を断定するのではなく、人が見るべき順番をつけるのが目的」

ここで「確度を断定しない」と明示しているのがポイントです。AIに数字を語らせると、それらしいが根拠の薄い予測が出ます。求めているのは予言ではなく「見るべき順番」だと伝えることで、現場で信頼して使えるツールになります。あいまいな指示ほど結果がぶれるため、何を重く見るかを具体的に書くことが質を左右します。

ツール2:提案書ドラフト生成

2本目は、提案書のたたき台を素早く用意するツールです。ゼロから書く時間を、お客様ごとの調整に回すための下書きづくりです。

何をするツールか。自社の標準的な提案書の構成(課題整理、解決策、導入の流れ、料金、導入事例など)をひな型として持たせ、お客様の業種や相談内容を入れると、そのお客様向けに肉付けした下書きを出します。完成品ではなく、営業が手直しして仕上げる前提の素材です。

作り方の勘どころ。鍵は、自社の「いい提案書」をお手本として渡すことです。過去の良い提案書(顧客名や金額はダミーに置き換えたもの)を数本見せ、「この型と語り口で書いて」と伝えると、自社らしいトーンの下書きになります。指示の例は次の通りです。

「添付の提案書サンプル3本を参考に、構成と言い回しの型をまねてほしい。そのうえで、相手は『従業員50名ほどの製造業で、現場の報告業務に時間がかかっている』という想定で、課題整理・解決策・導入ステップ・想定スケジュールの順に提案書のたたき台を作って。料金や具体的な数値は、こちらで後から入れるので『(要記入)』と空欄にしておいて。事実かどうか確認できない実績は書かないで」

「数値は空欄にする」「確認できない実績は書かない」という指示は必須です。AIは指示しないと、もっともらしい数字や事例を創作してしまうことがあります。価格や実績はあとから人が正確に埋める運用にすれば、説得力のある下書きを安全に量産できます。提案書づくりに特化した踏み込んだ手順は提案書・見積書の作成ツールを作る手順でも解説しているので、あわせてご覧ください。

ツール3:案件サマリー作成

3本目は、商談の記録を整えるツールです。後回しになりがちな議事録やCRMへの入力を、その場で形にします。

何をするツールか。商談中に取った走り書きのメモや、文字起こししたテキストを読み込み、「決まったこと」「宿題(ToDo)」「次回の予定」「先方の関心事」といった切り口に整理して、上司への共有やCRM入力にそのまま使える形にまとめます。

作り方の勘どころ。自社の報告フォーマットに合わせて出力させることです。社内で使っている共有テンプレートの見出しをそのまま指定すれば、コピーして貼るだけの状態になります。指示の例は次の通りです。

「このメモ(memo.txt)を読んで、商談サマリーに整理して。見出しは『決定事項』『宿題と担当』『次回アクションと期日』『先方の関心・懸念』の4つで固定して。メモに書いていないことは推測で補わず、書かれている事実だけでまとめて。曖昧な点は『要確認』と明記して。最後に、上司にそのまま共有できる3行の要約も付けて」

「メモにないことは推測で補わない」と縛るのが大事です。これを言わないと、AIは話の流れを勝手に補完してしまい、言っていない約束が記録に残るおそれがあります。事実だけを整えさせ、足りない部分は「要確認」と残させることで、記録として信頼できるツールになります。会議の議事録づくりに特化した作り方は議事録作成ツールを作る手順でも扱っています。こうした成果直結の業務ツールを横断的に作る発想はClaude Codeで業務ツールを作る5ステップが土台になります。

5日間で内製する進め方

3本のツールを、いきなり完璧に作る必要はありません。AI CODEMYの研修では、5日間で社員が自分の業務課題を解決するツールを完成させますが、その進め方は内製の参考になります。ここでは1本を仕上げる流れを、日程のイメージとともに示します。

1日目:題材を1つ選び、業務を言葉にする。3本すべてを同時に追わず、まず一番困っている業務を選びます。そして「何を入れて、何を出したいか」「どんなルールで判断しているか」を箇条書きにします。プログラミングではなく、自分の仕事を言語化する作業です。

2日目:ダミーデータで試作する。本物の顧客情報は使わず、ダミーの案件一覧やメモを用意し、Claude Codeに上記のような指示を出して動かしてみます。一度で完璧を狙わず、まず動くものを作ります。

3日目:動かしながら日本語で直す。「この案件は優先度を上げて」「この見出しは要らない」と、出てきた結果を見て言葉で調整します。自分の基準に合うまで対話を繰り返すこの工程が、内製の核心です。

4日目:社内ルールを確認し、本番データへ。実データを扱う前に、クラウドのAIに何を送ってよいかという会社の情報取り扱いルールを確認します。問題なければ、範囲を限って実データで試します。

5日目:小さく本番投入し、2本目へ。まず自分の担当案件だけ、まず今週の商談だけ、と小さく使い始めます。効果が見えたら対象を広げ、次のツールへ進みます。

この「題材を絞る→ダミーで作る→言葉で直す→ルール確認→小さく始める」の型は、職種を問わず内製の基本です。30日でClaude Codeを業務に根づかせる全体像はClaude Code活用30日プランでも解説しています。なお、こうした社員の内製スキル習得には、要件を満たせば国の人材開発支援助成金などを活用できる場合があります。助成率や対象要件は厚生労働省の公表資料を要確認ですが、研修費用の負担を抑える選択肢としてAI研修に使える助成金の解説ページもご覧ください。

運用の注意点

3本のツールを実務で使ううえで、共通して押さえておきたい注意点が3つあります。

第一に、最終判断は必ず人が行う。受注確度も、提案内容も、商談記録も、ツールが出すのは下書きです。お客様に出す前、上司に共有する前に、営業担当が目を通して責任を持つ運用にします。ツールは判断を奪う道具ではなく、判断の前段を肩代わりする道具です。

第二に、扱う情報の範囲を決める。顧客名、商談内容、価格交渉の経緯など、営業が扱う情報には機微なものが含まれます。何をクラウドのAIに送ってよいかは会社のルールに従い、迷う情報は入力しないのが安全です。入れてはいけない情報の考え方は生成AIに入力してはいけない情報リストにまとめています。

第三に、数字や実績の創作に注意する。提案書ドラフトでも受注予測でも、AIはもっともらしい数値や事例を作ってしまうことがあります。価格・実績・確度の数字は人が確認して埋める、確認できないものは書かせない、という前提を徹底します。良い指示の書き方そのものは業務で使えるプロンプトの書き方が参考になります。

まとめ:作るのは「下書き製造機」、判断は営業が握る

本記事の要点を整理します。

  • 営業の困りごとを一番知る営業担当が、Claude Codeで成果直結のツールを自分で内製できる
  • 作る3本は、受注予測(見るべき順番づけ)・提案書ドラフト(たたき台生成)・案件サマリー(商談記録の整理)
  • 勘どころは、自社の判断基準・提案の型・報告フォーマットを言葉にしてAIに渡すこと
  • 1本を「題材を絞る→ダミーで作る→言葉で直す→ルール確認→小さく始める」で仕上げ、次へ進む
  • 確度・価格・実績は人が確認して埋め、扱う情報は社内ルールに従い、最終判断は営業が握る

営業がClaude Codeで作るのは、判断を代行する魔法ではなく、面倒な下書きを量産する「下書き製造機」です。ルーティンの前段をツールに任せ、人は商談とお客様への向き合いに時間を使う——それが、成果につながる無理のない内製の形です。

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執筆:AI CODEMY 編集部 / 最終更新:2026年6月23日