経営企画こそ生成AI×ファイル処理の効果が大きい
経営企画の業務には、生成AIと特に相性の良い特徴が2つあります。1つは、扱う情報の多くが「各部門から集まるファイル」の形をしていること。もう1つは、KPIレポートや会議資料のように「毎回同じフォーマット」のアウトプットが多いことです。入力がファイルで、出力の型が決まっている——これはAIによる自動化の理想的な条件です。
ここで使うClaude Codeは、チャット型の生成AIと違い、言葉で指示するだけで複数ファイルの読み込み・集計・レポート生成までを一気にこなしてくれるAIです。「各部門のExcelを1つずつ開いて転記する」という、経営企画の時間を最も奪っている作業をまるごと任せられるのが、チャットAIとの決定的な違いです。
Claude Codeで自動化できる経営企画の定型業務5つ
経営企画の現場でよくある5つの定型業務について、Claude Codeへの指示の例文つきで紹介します。固有名詞や項目は自社に合わせて読み替えてください。
1. 各部門からのKPI自動集計
営業・マーケ・カスタマーサクセスなど、各部門から形式の違うファイルでKPIが届き、それを1つの経営ダッシュボード用の表に転記する——この取りまとめ作業が、最初に自動化すべき本命です。
「kpiフォルダにある各部門のExcel(部門ごとに形式が違う)から、今月の売上・新規件数・解約数を抜き出して、部門×指標の一覧表と前月比を作って。元ファイルのどのセルから取った値か分かるメモも付けて」
一度この処理を道具の形にしておけば、翌月からは新しいファイルをフォルダに入れて実行するだけです。スプレッドシート集計の自動化の基本はスプレッドシート集計を自動化するツールの作り方で手順から解説しています。
2. 定例の経営会議資料のたたき台
毎月の経営会議資料は、構成がほぼ固定です。先月の資料をお手本として渡し、今月の集計結果を流し込んだたたき台を作らせれば、ゼロから組み立てる時間がなくなります。
「先月の経営会議資料の構成をお手本に、今月のKPI集計結果から各ページの本文のたたき台を作って。数字の評価コメントは『事実の記述』までにして、原因の推測は書かずに空欄にして」
原因分析の欄をあえて空欄にさせるのがポイントです。そこは現場へのヒアリングと経営企画の解釈で埋めるべき部分だからです。
3. 市場データ・外部情報の整理
中期計画や新規事業の検討では、官公庁の統計や業界レポートを読み込んで整理する作業が発生します。集めた資料をClaude Codeに渡し、論点別の整理表や要約を作らせれば、読む量を大幅に減らせます。
「researchフォルダの資料から、市場規模の推移・主要プレイヤー・規制動向に関する記述を抜き出して、出典ファイル名とページ付きで論点別に整理して。資料にない情報は補わないで」
4. 予実差異の要因メモ作成
予算と実績の差異分析では、「どこで・いくら・どちら向きにズレたか」の特定までは機械的な作業です。差異の大きい項目を自動で抽出させ、要因のヒアリング先リストまで作らせると、分析の初動が速くなります。
「予算表と実績表を突き合わせて、差異額の大きい順に勘定科目を並べ、差異率も付けて。差異が大きい上位10項目について、確認すべき担当部門の欄を付けたヒアリング用メモを作って」
5. 議事録からのToDo抽出
経営会議や各種委員会のあと、議事録から決定事項と宿題を拾って関係者に展開する作業も、経営企画に集まりがちな定型業務です。議事録ファイルを渡してToDo一覧を作らせれば、抜け漏れの心配が減ります。
「この議事録から、決定事項・ToDo・担当者・期限を表に抜き出して。担当者や期限が明記されていないToDoは『未定』として、確認が必要な項目リストも別に作って」
始め方:毎月の「KPI取りまとめ」を最初の題材にする
最初の題材には、毎月必ず発生し、入力と出力がはっきりしているKPIの取りまとめをおすすめします。直近1か月分の各部門ファイルと、完成形のレポートを1組用意し、「この入力からこの出力を作って」と渡すところから始めれば、AIが何をどこまでできるかを安全に確かめられます。
もう1つのコツは、各部門に提出フォーマットの統一を求める前に始めてしまうことです。「フォーマットがバラバラだから自動化できない」と考えがちですが、形式の揺れを吸収しながら読み取るのはClaude Codeの得意分野です。まず現状のファイルのまま動かし、どうしても読み取れない部分だけ提出側に依頼する——この順序のほうが、関係部門の負担なく早く立ち上がります。
研修の現場で経営企画の受講者がつまずきやすいのは、最初から「全部門・全指標の完全自動化」を狙ってしまうことです。部門ごとにファイル形式の揺れや例外があるため、まずは2〜3部門・主要指標だけの小さな範囲で動くものを作り、月次で使いながら対象を広げていく方が確実に定着します。なお、こうした部門単位の成功を全社展開につなげる進め方は生成AIの全社導入ロードマップで解説しています。
注意点:数字の検証と解釈は人の仕事
経営判断の材料を扱う部門だからこそ、守るべき注意点があります。
- 集計結果は必ず検証する:導入初期は、AIの集計と従来の手作業の結果を並行して突き合わせ、一致を確認してから切り替えます。「どのセルから取った値か」を出力させておくと検証が容易です。
- 解釈と示唆は人が書く:数字がなぜ動いたか、経営として何をすべきかは、現場の文脈を知る人間にしか書けません。AIに原因を推測させると、もっともらしい誤った物語ができあがる危険があります。
- 経営情報の機密管理を徹底する:業績データは社内でも取り扱い注意の情報です。入力が学習に使われないプランを使い、アクセスできる範囲を限定して運用します。
また、こうした自動化の効果を社内に説明するときは、削減できた作業時間を金額に置き換えると伝わりやすくなります。考え方は生成AIのROI・費用対効果の出し方を参考にしてください。
まとめ:数字を「集める」から「解釈する」へ
本記事の要点を整理します。
- 経営企画は「入力がファイル・出力の型が固定」の業務が多く、生成AIによる自動化と好相性
- KPI集計・会議資料のたたき台・市場データ整理・予実差異メモ・議事録のToDo抽出の5つはClaude Codeで自動化できる
- 指示のコツは、取得元を明示させること、原因の推測や資料にない情報の創作を禁止すること
- 最初の題材は毎月のKPI取りまとめ。小さな範囲で動かし、月次で使いながら広げる
- 集計の検証・数字の解釈・機密管理は人の仕事として残す
集計と転記から解放された時間で、数字の裏にある原因を掘り、次の一手を考える——経営企画の本来の価値に集中するために、まずは来月のKPI取りまとめを1つ自動化してみてください。
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