なぜフォロー漏れの検知を内製するのか
フォロー漏れが起きるのは、担当者の意欲が低いからではありません。目の前の商談に集中していると、静かに止まっている案件ほど視界から消えるからです。現場では次のような困りごとが起きがちです。
- 案件が増えるほど一覧が長くなり、どれが止まっているのかを目視で見分けられなくなる
- 最終接触からの日数を一件ずつ数える作業が面倒で、点検そのものが後回しになる
- 止まっている案件を見つけても、どれから連絡すべきかの優先順位を毎回考え直している
- 久しぶりの連絡は文面に悩みやすく、書き出せないまま一日が終わってしまう
この作業は「決まった条件で一覧を絞り込み、決まった形で連絡文を用意する」性質が強く、下書きの自動化と相性の良い領域です。案件管理のサービスにも通知の機能はありますが、何日空いたら放置とみなすか・どの段階の案件を優先するかは会社ごとに違い、既製の基準がそのまま自社に合うとは限りません。自社の営業プロセスと連絡の型をそのまま反映できるのが内製の強みです。定型作業を見極めて自動化する考え方は繰り返し作業を自動化する進め方でも整理しています。営業部門でどこから内製に着手するかは営業部門でClaude Codeを使う進め方もあわせてご覧ください。
作るツールの全体像
今回作るのは、商談の一覧と接触履歴を受け取り、止まっている案件を洗い出し、優先順位を付け、連絡文の下書きと対応の記録を残す小さなツールです。流れは次のとおりです。
- 入力:案件名・取引先・担当者・商談の段階・最終接触日・次回予定といった項目を、ふだん使っている一覧のまま渡す
- 放置案件の抽出:最終接触からの日数と次回予定の有無を突き合わせ、自社の基準で止まっている案件を絞り込む
- 優先順位付け:商談の段階・止まっている日数・案件の規模といった自社の見方で並べ替え、今日追うべき順に並べる
- フォロー文の下書き:前回のやり取りを踏まえた連絡文の下書きを、相手や状況に合わせた丁寧さで作る
- 対応状況の記録:連絡した日・手段・相手の反応・次のアクションを一覧に書き出し、追いかけの履歴を見えるようにする
大切なのは、「何をもって放置とみなすか」を最初に決めて渡しておくことです。二週間なのか一か月なのか、段階によって変えるのかは会社ごとに違うため、実際の運用ルールを言葉で渡し、ツールに勝手な前提を作らせないことが肝心です。最初は放置案件の抽出と優先順位付けだけを対象にして動かし、慣れてからフォロー文の下書きや対応状況の記録を足していくと無理なく進められます。連絡文の下書きを整える工程はメール返信の下書きを自動生成するツールの作り方の考え方とも共通します。
用意するもの
準備するのは次の3つだけです。特別な開発環境は必要ありません。
- Claude Code:指示を出すと、必要なファイルを自動で作ってくれます。導入手順はClaude Codeのはじめ方を参照してください。
- 実際の商談一覧(数十件で十分):案件名・商談の段階・最終接触日・次回予定が入った一覧を用意すると、Claude Code が自社の項目の並びを正確につかめます。
- 実際に使っているフォロー文の文例(数件):久しぶりの連絡の切り出し方・締めの一文・段階ごとの言い回しの違いが分かる文例を数件そろえると、自社の型に沿った下書きになります。
商談情報には、取引先名・担当者名・金額・検討状況といった、社外に出せない情報が含まれます。試す段階でも社内の管理ルールに沿って扱い、社外に出さない環境で作業してください。失注理由や与信の情報など、外に出ると差し支えるものは、ツールに推測で補わせず、必要な範囲だけを渡す設計にしておくと安全です。業務でAIを安全に使う考え方は業務AI利用時の情報漏えい対策で解説しています。
Claude Codeへの指示と作成手順
ここからは、実際にClaude Code へ出す指示の流れを順番に見ていきます。専門用語は使わず、ふだんの言葉で頼むのがコツです。
第一段階:やりたいことと自社の基準を伝える。「商談の一覧を渡すと、最終接触から日が空いている案件を挙げてほしい」と目的を伝え、何日空いたら放置とみなすかという自社の基準も一緒に渡します。「提案済みの案件は十日、初回接触の段階は三週間で挙げて」「次回予定が入っている案件は対象から外して」と、そろえてほしい条件を言葉で伝えると、Claude Code が土台のファイルを作ってくれます。
第二段階:優先順位の付け方をそろえる。抽出ができたら、「金額が大きい案件と、契約に近い段階の案件を上に」「同じ条件なら止まっている日数が長いほうを先に」と、自社の見方を言葉で渡します。並び順の根拠も一緒に書き出してもらうと、担当者が結果を納得して使えるようになり、基準そのものを見直す材料にもなります。
第三段階:フォロー文の下書きを足す。優先順位が安定したら、実際に使っているフォロー文の文例を数件渡し、「この型に合わせて、案件ごとの下書きを作って」と頼みます。前回のやり取りの内容や検討状況など、渡していない情報は勝手に埋めず空欄のまま残してほしい、と頼んでおくと安心です。相手の温度感を推測して書かせるのではなく、事実として渡した履歴の範囲で書かせるのが失敗を防ぐコツです。
第四段階:対応状況の一覧に育てる。運用が安定したら、「連絡した日・手段・相手の反応・次のアクションを一覧に書き出したい」「対応が済んだら、既存の一覧に追記する形にしたい」といった要望も言葉で伝えれば調整できます。誰がどこまで追いかけたかが一覧で見えれば、同じ相手への二重連絡や、引き継ぎ時の抜け漏れを防げます。完成したら操作の流れをメモに残しておくと、次回からは最新の商談一覧を差し替えるだけで点検が回ります。案件の数字を俯瞰したい場合はKPIダッシュボードの作り方もあわせてご覧ください。
つまずきやすい点と回避策
はじめて内製する方が引っかかりやすいポイントを、先回りしてお伝えします。
渡していない検討状況を、それらしく補ってしまうこと。前回の商談で相手が何を懸念していたかを渡していないのに、文章を整える流れで「ご検討中と伺っておりました」と書かれると、事実と違う連絡になってしまいます。「渡した接触履歴の範囲だけで書き、情報がない部分は空欄のまま残す」よう指示し、迷う箇所は確認が必要として挙げてもらってください。分かる範囲だけで書き、不明な部分は空けておくのが正しい進め方です。
放置の基準をあいまいなまま任せてしまうこと。「しばらく連絡していない案件を挙げて」とだけ頼むと、その時々で違う基準の一覧が出てきて、点検の結果を信用できなくなります。日数と段階の組み合わせで基準をはっきり決め、文章にして渡してください。運用しながら基準が実態と合わないと分かれば、その都度言葉で直せるのが内製の利点です。
抽出して終わりにして、対応の記録が抜けること。止まっている案件を挙げるところまでは動いても、連絡した結果を一覧に残す工程が抜けると、翌週も同じ案件が同じ理由で挙がり続け、やがて一覧を見なくなります。連絡したらその場で対応日と次のアクションを書き込む、という一手間を運用に組み込んでおきましょう。こうして流れを一度固めておけば、あとは商談一覧を差し替えるだけで使い回せるのが内製の利点です。
まとめ:点検と下書きはツールに、判断は人に
本記事の要点を整理します。
- フォロー漏れは意欲の問題ではなく、案件が増えるほど止まった商談が見えなくなる仕組みの問題
- 作るのは「商談一覧の入力→放置案件の抽出→優先順位付け→フォロー文の下書き→対応状況の記録」の小さなツール
- 用意するのはClaude Code・実際の商談一覧・実際のフォロー文の文例の3つだけ
- 何日空いたら放置とみなすかの基準を言葉で決めて渡し、ツールに勝手な前提を作らせない
- 渡した接触履歴の範囲だけで下書きさせ、連絡は送信前に人が確認してから出す
一覧の点検と連絡文の下書きはツールに任せ、いつ誰に何を伝えるかの判断は人が持つ——この役割分担を押さえれば、営業のフォローは「気づいたときには手遅れ」の状態から「毎朝、追うべき順に案件が並んでいる」運用へ近づきます。まずは手元の商談一覧と、実際に使っているフォロー文の文例を数件、Claude Code に渡すところから始めてみてください。研修費用を助成金で抑えながら内製人材を育てる進め方は生成AI研修に使える助成金で解説しています。
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