なぜ共用設備の予約管理を内製するのか
共用設備の取り合いが起きるのは、社員の譲り合いが足りないからではありません。誰がいつ押さえているかという同じ情報が、置き場所ごとにバラバラに存在しているからです。現場では次のような困りごとが起きがちです。
- 会議室の予約が個人の予定表と総務の台帳の二か所にあり、片方にしか入っていない予約で当日ぶつかる
- 社用車を誰が何時から使うのかが分からず、鍵を探しに行って初めて出払っていると気づく
- とりあえず長めに押さえた枠がそのまま残り、空いているのに空きに見えない
- キャンセルの連絡が口頭で回り、台帳に反映されないまま空き枠が死蔵する
この作業は「限られた枠を、重複なく、使う人に割り当てる」性質が強く、機械的な突き合わせと相性の良い領域です。既製の予約システムにも会議室予約の機能はありますが、入退室の連携や座席管理まで含む大きな仕組みで、月額の費用や初期設定の負担が、会議室が数部屋と社用車が数台という規模には見合わないこともあります。結局は総務が手元の表で別に管理し、二重管理になってしまう話も珍しくありません。自社が実際に取り合っている設備だけへ絞った身軽な仕組みを作れるのが内製の強みです。定型作業を見極めて自動化する考え方は繰り返し作業を自動化する進め方でも整理しています。総務・バックオフィス業務全体でClaude Codeをどう使うかはバックオフィス業務をClaude Codeで自動化する進め方とあわせてご覧ください。
作るツールの全体像
今回作るのは、共用設備の予約を一か所に集め、重複を機械的に見つけ、使われていない枠を返してもらう小さなツールです。流れは次のとおりです。
- 設備の登録:会議室・社用車・貸出用のプロジェクタなど、取り合いが起きているものだけを名前と定員や台数で登録しておく
- 空き状況の確認:日付と時間帯を指定すると、その時間に使える設備だけを返す
- 予約の受付:設備・利用日時・利用者・用途を控え、一件の予約として記録する
- 重複の検知:同じ設備の時間帯が重なる予約を、登録した時点で指摘する
- 使われていない予約の洗い出し:直前になっても用途が埋まらない予約や、長時間押さえたままの枠を抜き出す
大切なのは、最初からすべての設備を対象にしないことです。共用のノートパソコンや文房具の在庫まで一度に入れようとすると、登録の手間が増えて続かなくなります。まずは設備名・利用日時・利用者・用途の四つだけで動かし、対象も「実際に取り合いが起きているもの」に限って始め、運用しながら足していくのが定着の近道です。備品そのものの所在や貸出の管理まで広げたい場合は備品・IT資産管理ツールの作り方で作った台帳と設備の一覧をそろえておくと、二重登録がなくなります。
用意するもの
準備するのは次の3つだけです。特別な開発環境は必要ありません。
- Claude Code:指示を出すと、必要なファイルを自動で作ってくれます。導入手順はClaude Codeのはじめ方を参照してください。
- いま使っている予約表(数件で十分):ホワイトボードを書き写したものでも、総務が持っているエクセルでも構いません。Claude Code が自社で実際に何を控えているかをつかめます。
- 設備にまつわる社内の決まりごと(数行で十分):「社用車は前日までに申請する」「会議室は連続で押さえられるのは一定時間まで」「役員会議が優先される部屋がある」といった、ふだん暗黙で回している約束事を数行そろえておくと、受付の条件を自動で持たせられます。
予約の記録には、利用者の氏名や訪問先といった情報が含まれます。試す段階でも社内の情報の取り扱いルールに沿い、社外に出さない環境で作業してください。控える項目を予約の管理に必要なものだけへ絞っておけば、商談の中身まで抱え込む事故も防げます。業務でAIを安全に使う考え方は業務AI利用時の情報漏えい対策で解説しています。なお、社用車の運行記録や点呼の記録など、法令で保存が求められる記録は制度で決まっているため、何をどの形で残すべきかは最新の一次情報や管轄の窓口の確認と突き合わせてください。
Claude Codeへの指示と作成手順
ここからは、実際にClaude Code へ出す指示の流れを順番に見ていきます。専門用語は使わず、ふだんの言葉で頼むのがコツです。
第一段階:いまの予約表をそのまま渡す。「会議室と社用車の予約を一か所にまとめて、二重予約が出ない仕組みを作りたい」と目的を伝え、いま使っている予約表を数件分渡します。「設備名・利用する日と時間・利用者・用途を控えている」と、手元の管理の中身をそのまま言葉で伝えれば、Claude Code が予約台帳の土台を作ってくれます。まずは来週の一日分を入れて、いつもの見え方で並ぶかを確かめます。
第二段階:重複を登録の時点で指摘させる。台帳が整ったら、「同じ設備で時間帯が重なる予約があれば、登録しようとした時点で教えてほしい」と伝えます。ここが手作業で最も抜けるところなので、人が見比べずに済む形にしておくのが肝心です。前後の移動時間を挟みたい設備なら「社用車は前の予約の終了から一定時間空ける」といった条件も一緒に伝えておくと、返却前の枠がぶつかりません。時間の重なりの判定は、日をまたぐ予約や終了時刻ちょうどの扱いで結果が変わるので、実際にありそうな例をいくつか入れて意図どおりかを確かめてください。
第三段階:空き状況を先に見せる形にする。「この日のこの時間に使える設備を教えてほしい」と聞けば返る形にしておくと、押さえてから断られる往復がなくなります。人数や用途に合う設備だけを候補にしたい場合は、設備の登録側に定員や積める人数を持たせておけば、条件に合わないものが候補から外れます。会議そのものの日程を関係者とそろえるところから始めたい場合は日程調整ツールの作り方と組み合わせると、日時が決まってから部屋を押さえるまでが一つの流れでつながります。
第四段階:使われていない枠を返してもらう。「用途が空欄のまま利用日が近づいている予約」「一定の時間を超えて押さえたままの枠」を抜き出すよう伝えれば、空きに見えない枠を洗い出せます。抜き出したものを利用者に確認して返してもらう運用にすれば、設備を増やさずに使える枠が増えます。完成したら操作の流れをメモに残しておくと、担当が交代しても同じ形で回せます。
つまずきやすい点と回避策
はじめて内製する方が引っかかりやすいポイントを、先回りしてお伝えします。
あらゆる設備を最初から対象にすること。共用のノートパソコン・プロジェクタ・文房具の在庫まで一度に載せようとすると、登録の手間が増えて続かなくなります。まずは「実際に取り合いが起きているもの」だけに絞ってください。会議室と社用車は取りこぼすと予定そのものが崩れるため、記録する動機が現場に残ります。取り合いになっていない備品は、台帳が実務で使われるようになってから足すほうが確実です。
優先順位の判断までツールに決めさせること。Claude Code は時間帯の重なりを見つけるのは得意ですが、予約がぶつかったときにどちらを優先するかという判断まで肩代わりできるわけではありません。役員会議を優先するのか、先に申し込んだ側を通すのか、来客のある予定を上に置くのかは、その会社の考え方で決まります。優先の決まりは人が先に決めて登録し、ツールはその決まりに反する予約が入っていないかの見張りに使う——この線引きを守ってください。予約が重なったときの連絡と対応の管理まで広げたい場合はタスク管理ツールの作り方とつなげると、調整の抜けが減ります。
予約は入るのに実態と合わなくなること。予約の台帳は、記録が実際の使われ方とそろっていて初めて意味を持ちます。キャンセルが口頭のまま反映されないと、空いているのに使えない部屋が増えていきます。「使わなくなったらその場で消す」「週のはじめに、用途が空欄の予約だけ確認する」といった、見る場面と直す場面を一つずつ決めておくのが効果的です。こうして流れを一度固めておけば、あとは同じ形で使い回せるのが内製の利点です。社内で作ったツールを長く使い続ける工夫は内製ツールの保守の進め方で解説しています。
まとめ:重なりの検知はツールに、優先順位の判断は人に
本記事の要点を整理します。
- 共用設備の取り合いが起きる原因は譲り合いの不足ではなく、同じ予約情報が置き場所ごとに分かれていること
- 作るのは「設備の登録→空き状況の確認→予約の受付→重複の検知→使われていない予約の洗い出し」の小さなツール
- 用意するのはClaude Code・いま使っている予約表・設備にまつわる社内の決まりごとの3つだけ
- 控える項目は設備名・利用日時・利用者・用途の四つから始め、取り合いのない備品まで盛り込みすぎない
- ぶつかったときにどちらを優先するかの判断は人が決め、時間帯の重なりの検知と空き枠の洗い出しはツールに任せる
重なりの検知と空き枠の洗い出しはツールに任せ、どの予定を優先するかの判断は人が持つ——この役割分担を押さえれば、共用設備の管理は「当日ぶつかって初めて分かる」状態から「押さえる前に分かる」運用へ近づきます。まずは来週の一日分の予約表を、Claude Code に渡して台帳にするところから始めてみてください。研修費用の負担を抑えながら社内に内製できる人を増やす方法は生成AI研修に使える助成金もあわせてご確認ください。
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