問い合わせ自動対応ツールの作り方|AIで返信下書きを作る

問い合わせメールの返信下書きをAIが作成するイメージ

毎日届く問い合わせメールの大半は「いつもの質問」なのに、返信を書くのに同じ時間がかかっている——そんな状態は、ツールで変えられます。結論から言うと、よくある質問と社内資料をもとに、問い合わせメールの返信下書きを自動で作るツールは、プログラミング未経験でもClaude Codeとの対話だけで作れます。ポイントは、あくまで「下書き」を作らせて、送信前に必ず人間が確認する設計にすることです。本記事では、完成形のイメージから指示例文、運用ルールまで、見ながらそのまま作れる手順で解説します。

問い合わせ受信からAIの下書き作成・人間の確認・送信までの流れ
図:問い合わせ受信からAIの下書き作成・人間の確認・送信までの流れ

完成形のイメージ:何ができるツールか

最初に、これから作るツールの動きを具体的にしておきましょう。完成するのは「問い合わせメールの本文を渡すと、返信の下書きが出てくるツール」です。

  • 入力:受信した問い合わせメールの本文(コピーして渡す、またはテキストファイルとして置く)
  • 処理:あらかじめ用意したFAQ(よくある質問と回答)と社内資料を参照し、該当する回答を探して文面を組み立てる
  • 出力:宛名・挨拶・回答・結びまで整った返信メールの下書き。FAQにない質問の場合は「要・担当者対応」と明示

強調しておきたいのは、これが「自動返信ボット」ではなく「一次対応の下書きツール」だという点です。AIの回答をそのまま顧客に送るのではなく、必ず人間が内容を確認・修正してから送信します。間違った案内を自動送信してしまうリスクを避けつつ、返信を書く時間だけを大幅に減らす。この設計が、現場で安心して使える落としどころです。

必要な準備:FAQと社内資料を集める

このツールの回答の質は、参照させる資料の質で決まります。準備するものは3つです。

  • よくある質問と回答のリスト:過去の問い合わせを思い出しながら、「質問→会社としての正しい回答」のペアを10〜20個、テキストで書き出します。既存のFAQページやマニュアルがあればそれも使えます。
  • 参照させたい社内資料:料金表、サービス説明資料、利用規約など、回答の根拠になる資料をテキストやPDFで1つのフォルダにまとめます。社外秘の資料を含める場合は、社内のAI利用ルールに沿っているか先に確認しておきましょう。
  • 過去の問い合わせメール5〜10件:あとで検証に使うテストデータです。実際に受信したメールと、そのとき送った返信のペアがあると理想的です。

研修の現場でも、このツールを作った受講者がまず驚くのは「FAQを書き出す作業そのものに価値があった」という点です。担当者ごとに微妙に違う回答をしていたことが言語化で発覚し、回答の標準化が先に進む——ツール作りが業務整理を兼ねるのです。

作る手順:指示例文をそのまま使う

資料がそろったら、Claude Codeとの対話で組み立てます。指示例文はそのままコピーして使えます。

手順1:ツールの全体像と「下書きである」ことを伝える

「問い合わせメールの一次対応ツールを作ってください。問い合わせメールの本文を渡すと、FAQと社内資料を参照して返信メールの下書きを作るものです。これはあくまで下書きで、人間が確認してから送信します。自動送信の機能は作らないでください。」

最初の指示で「下書き専用・自動送信なし」と明言しておくのが大切です。ツールの安全な範囲を最初に決めてしまいます。

手順2:FAQと資料の場所、参照のルールを伝える

「FAQはこのファイル、参照資料はこのフォルダにあります。回答は必ずFAQと資料に書いてある内容だけをもとに作ってください。書いていないことは推測で答えず、その場合は下書きを作らずに『FAQに該当なし。担当者の対応が必要』と表示してください。」

この「書いていないことは答えさせない」という一文が、このツールで最も重要な指示です。AIは聞かれたことに何かしら答えようとする性質があるため、根拠のない回答(いわゆるハルシネーション)を禁じるルールを明示的に組み込みます。

手順3:返信文の体裁を指定する

「返信下書きの形式は、宛名(〇〇様)、お問い合わせへのお礼、回答本文、結びの挨拶、署名の順にしてください。文体は丁寧なビジネスメールで、社名と担当窓口の署名はこの文面を使ってください。」

普段使っている返信メールを1通見本として渡し、「この文体に合わせて」と指示すると、より自社らしい下書きになります。

手順4:試しに1件処理してもらう

「過去に実際に届いたこの問い合わせメールで試してください。下書きと、参照したFAQの番号もあわせて表示してください。」

「どのFAQを根拠にしたか」を表示させると、確認する人間が裏取りしやすくなります。なお、ここまでの「課題→仕様→試運転」の進め方は、Claude Codeで業務ツールを作る5ステップで解説している型と同じです。

動かして直す:過去の問い合わせで検証する

土台ができたら、用意した過去の問い合わせ5〜10件で検証します。実際に送った返信と見比べて、ずれている点を言葉で直していきます。

「この質問への下書きが、実際に送った返信と比べて説明不足です。料金の質問には、該当プランの説明だけでなく、見積もり依頼の案内も必ず添えてください。」
「1通のメールに質問が2つ入っている場合に、1つ目しか答えていません。質問を全部拾って、それぞれに回答するようにしてください。」
「クレームのような強い不満を含むメールは、下書きを作らずに『至急・担当者対応』と表示してください。」

とくに3つ目のような「ツールに任せない条件」を増やしていく修正は重要です。何でも答えるツールより、答えるべきでないものを見分けるツールのほうが、現場では信頼されます。検証で「FAQに該当なし」が多発した質問は、FAQ側に回答を追加すれば、次からは下書きが出るようになります。

運用のコツ:「人間が送信前に確認」を崩さない

運用で大切なのは、便利になっても設計の原則を崩さないことです。コツは3つあります。

  • 送信前の人間チェックをルール化する:「AIの下書きは必ず担当者が読み、事実関係を確認してから送信する」を明文化します。慣れてくると確認が形だけになりがちなので、根拠FAQの表示を必ず見る習慣とセットにします。
  • FAQを更新する担当と頻度を決める:新しい質問やサービス変更のたびにFAQを更新すれば、ツールは古くなりません。月1回の見直しなど、軽い定期メンテナンスを決めておきます。
  • 個人情報の扱いを社内ルールに合わせる:問い合わせメールには氏名や連絡先が含まれます。AIに渡してよい情報の範囲を、社内のセキュリティルールと整合させておきましょう。

さらに発展させたい場合、メールソフトや社内のデータベースとAIを直接つなぐ「MCP」という仕組みを使うと、メールの取り込みから下書き作成までを一気通貫にできます。仕組みの概要はMCPとは何か(非エンジニア向け解説)を、カスタマーサポート業務全体への広げ方はカスタマーサポート業務をClaude Codeで効率化する方法をご覧ください。

まとめ:返信の「ゼロから書く」をなくす

本記事の要点を整理します。

  • 問い合わせの返信下書きを自動で作るツールは、非エンジニアでもClaude Codeとの対話で作れる
  • 役割は「自動返信」ではなく「一次対応の下書き」。送信前に必ず人間が確認する設計にする
  • 準備の核心はFAQの書き出し。回答の標準化という副産物も得られる
  • 「資料にないことは答えない」「クレームは人間へ」など、任せない条件の作り込みが信頼の鍵
  • 運用ではFAQの定期更新と、個人情報ルールとの整合を忘れない

返信をゼロから書く時間がなくなるだけで、問い合わせ対応の負担感は大きく変わります。まずは、よくある質問を10個書き出すところから始めてみてください。

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執筆:AI CODEMY 編集部 / 最終更新:2026年3月18日